犠牲者其の一
ぶっちゃけ、今までの話を見なくても、内容が何と無く分かる気がします。
次に書く時は、しばらく後になると思います。
しばらくすると、ミシェルが作った料理をミリーがワゴンを使い持って行った。俺はミリーについて行こうとしたが、体が動かない。なるほど、この館を詳しく調べさせてはくれないようだ。
体が動かない俺は、厨房に残っているミシェルを眺めていた。 旗から見るとただの変態かもしれない。だが、今の俺が出来ることはそれだけしかなかった。
あれから十分ほど経っただろうか、俺はまた白い光に包まれた。俺は一瞬動揺したが、すぐに理由が分かった。 この光は俺を役者がいる部屋に移してくれるのだろう。そうでもしなければ、話にならない。 俺はまた、光に包まれている間、少し眠った。
目を覚ますと、予想通り、他の場所に移っていた。ここはどこだろうか、さっきの厨房と比べて、かなり小さい。一つの長テーブルの周りには、席が十一席ある。
ミリー「はぁ〜、どうしたらミシェルさんのように料理が上手くなれるのかなぁ〜。」
ミリーはため息をつきながら、ミシェルが作った料理を持ってきた。そこそこ美味しそうだ。 長テーブルの前にワゴン車を置くと、各々の席の前に置いくと思ったが、五人分の量しか置いていかず、残りを何処かへ持って行った。
『残りの五名は他の部屋で食べるのか? おい、神様さんよ、見ているなら教えろや。』
俺は疑問に思ったので、そのことについて神様に聞いてみた。 これくらいの質問くらいなら答えてくれるだろう。 俺は神様が出てくることを期待した。すると、予想通りに神様が出てきた。
「ショーンを知っているだろ。生まれつき重病を抱えている少年だ。彼は何かに怯えていて、歩くことさえも困難になっている。 当然、食事は一人ではロクに出来ない。 さっき出てきた、ミシェル、ミリーと老執事のトム、最後にバイトのビルがショーンがいる二階の部屋で一緒に食事をとるのだよ。 だから、あのテーブルには五人分の料理しか出されなかったワケ。」
神様は俺の質問に答えると、また、何処かへ行ってしまった。 どうやら、俺が質問した時にいちいち出て来て、答えを返すと、消えるらしい。 そんな面倒なことをしなくて、その場に残っていれば良いのに。
マイケル「おお、今日も美味そうだ。 なあ、メアリ、 って メアリー‼ お前は酒の飲み過ぎだ。 そろそろやめないか。」
メアリー「何よ? うーるさいわよ。 飲みたいから、飲むの。 何か悪い?」
神様が去って間も無く、マイケルとメアリーがこの部屋に入ってきた。 あの夫婦はどこまで持つか心配だ。 それにしても、あのメアリーはどこまで飲むのだろうか? この部屋に入ってきてから、ずっと飲んでいる。 あの状態だと、この部屋に入ってくる前から飲んでいたのだろう。不思議と肌はとても綺麗で、年も二十代前半に見える。まさか、酒で若返っているのか?
ジョン「メアリー姐さん、また飲んでるな。 マイケルさん、止めてあげないと。」
ニック「違うよジョン、メアリー姐さんは酒を飲んでるから、あのように綺麗で健康なんだよ。本当、マイケルさんが羨ましい。」
そう呑気に現れたのは、元泥棒のジョンと、友達思いのニックである。 あの倒れかけのメアリーを健康だと言うのはおかしいと思った。 そのメアリーはメアリー姐さんと親しわれているようだ。
マイケル「二人ともそんな事言ってる暇あるなら、メアリーを止めてやってくれよ。こいつこのままじゃ、死んでしまうよ。」
マイケルが必死で止めるが、メアリーは意地でも酒を飲もうと頑張っている。その光景は本当に楽しそうだ。さっきは、いつまで持つか心配だったが、この夫婦なら大丈夫だろう。
各々が食事を終えると、各自の部屋に帰って行った。 一階にいた五人は一階の寝室へ、二階にいた五人のうち、ショーンとミシェルはショーンの寝室へ、執事のミリー、トム、バイトのビルは三階の寝室に向かった。
俺は全員が寝室に入った瞬間、また白い光に包まれた。
「君が次に目を開ける時が本番だ。それまでゆっくりお休み。 明日の朝から、月は再び動き始める。 つまり、明日、君が目を覚ました瞬間から世界のカウントダウンが始まるよ。 問一は難問だ。 今まで解けた者は一名もいない。 よく考えて頑張りなさい。」
俺が眠っている間に神様が語りかけて来た。九九名解けない問題が俺に解けるのだろうか? 俺はその日、あまり心地良くはなかった。
マイケル「メアリー‼ おい、嘘だろ、目を覚ませよ、メアリー‼‼」
俺が目を覚ました瞬間、マイケルの叫び声が聞こえた。 マイケルの腕の中には、目が開ききったメアリーがいた。 あの様子だと、もう彼女は死んでいるだろう。
ようやく、神様と俺の知恵比べが始まった。