10、バレンタイン戦争(後編)
2月14日。
ここにある1人の男を賭けて3人の乙女による“バレンタイン戦争”が幕を開けた。
1人目・水野莉子
「じゃっいってきまーす!!」
「お兄ちゃん!忘れ物だよ!!」
「なんだよ、別に忘れてなんか・・・」
「これ・・・」
「あぁ、お前また松田にか?」
「えっ?」
「はぁ~バレンタイン当日の朝からこれかぁ~」
「いや、ちがっ」「分かったよ莉子。これをあいつに渡しといてやるから」
そしてターゲットは家から出てしまった。
「イヤァァァ!!」
水野莉子・・・過去10回、全てチョコが松田行きになっている。
8時10分、敗北。
2人目・九條あすか
ターゲット、発見。
「あの、これ・・・!!」
「え、これ僕がもらっていいんですか?」
「えっ?」
「光栄です~あんな事されたのに」
そこには・・・石崎誠がいた。
「・・・」
九條あすか・・・人違い。
10時37分、敗北。
「なぁ」
「どうした松田?」
「・・・忠邦、言葉に本音が出てるんだが」
「だってさぁ、こう毎回毎回チョコだらけだったら殺したくもなる!」
「えっ?お前1人ももらってないのか?」
「あたりまえだろ!!」
「・・・(一体どうしたんだ3人は?)」
「何ぶつぶつ言ってんだよ。あ~あ、暇だから松田のチョコの数でも数えようか」
3人目・白峰亜紀
「水野君」
「何?」
「いや、今日一日何かもらわなかったの?」
「俺みたいなパッとしない奴もらえるわけないじゃん」
「じゃあこれあげる」
「え、くれんの?」
「うん。いつもお世話になってるし・・・」
「ありがとう」
『プルルル、プルルル・・・』
「はい」
『ただ・・・くに・・・』
「どうしたんだ松田!?」
『お前の・・・妹のチョコは・・・い・・・きも・・・の』
ブチッ ピーピーピー
「松田ー!!」
1つの儚い命が消えた。
~おまけ~
「38、39・・・40!?なんでこんなにあるんだよ!!」
「かっこいいから」
「・・・じゃあ俺からプレゼント。お前の事が好きな女子からだ。今すぐに食べろ」
「? 分かった」
「じゃあ、俺は帰るから」
「おう」
そして本編の白峰さんのところに戻る。