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「私はイル様ともアルヴィン様とも口付けはしませんから!!」


 「まさか……、そんなことが……」


 私の話を聞き終えたナミは口をぽかんと開けて、唖然としている。

 そして一瞬後、ぐっと拳を握って叫んだ。


 「姫様、私、口付けだなんて絶対阻止しますからね! そんなことが起こった日には……っ!」

 

 日には……っ日には……っ! と、ぶるぶる震えるナミ。

 私はそれを止めることもなく、同調する。


 「そう、そんなこと起きちゃいけないのよ! 私とイル様が口付けなんて、そんな恐ろしいこと……っ!」

 「では、私とでは如何ですか?」


 ナミの言葉にこくこく頷いていると、ふいに背後から声がした。

 慌てて振り向くと、そこにはドアに寄りかかって立っているアルヴィン様の姿。穏やかな笑みさえ浮かべている。


 「な……っ、あ、アルヴィン様……っ!」


 何故客人の部屋に勝手に入っているのですかノックくらいするのが礼儀でしょうそもそもここは女性の部屋ですから男性が何も無しに入るなんていえそれ以前にアルヴィン様とだって口付けしたくはありません。


 頭の中を、アルヴィン様に言いたい言葉がぐるぐる回る。


 「アルヴィン様!! 如何にこの国の王子様と言えど、姫様のお部屋に勝手に入られるなど……っ」


 ナミがつかつかとアルヴィン様の前に出て、そう言う。

 相手がアルヴィン様でなければ怒鳴っている勢いだ。

 

 そんなナミに睨みつけられても、アルヴィン様は微笑みを崩さずに言った。


 「私はちゃんとノックしましたよ?」


 その言葉に、きょとんとする私とナミ。


 「へ……? ノック、したのですか?」


 ぽかんとしている私の言葉に、ええ、と頷くアルヴィン様。


 「返事がなかなか来ないので、勝手に入らせて頂きました。まあ、私が入った時にはお二人とも兄上のことで憤っていたようなので、気づかなくとも無理はないのかもしれませんね」


 彼は、少し面白そうにそう言う。

 

 「そ、そうだったんですか……。申し訳ありませんでした……」


 ナミがぺこりと頭を下げる。

 私も、慌てて腰を折った。


 でも、と、顔を上げる。


 「私は、アルヴィン様とでも口付けなんてしません。それは絶対ですから!」


 ぐ、と拳を握る私を見て、アルヴィン様は肩をすくめた。


 「まあ、母上は三日後に、と言っていましたし……。それまでに、リイナ姫が私を口付けを受け入れてくれるようになれば良いのですから……、待ちましょう」


 にっこりと笑うアルヴィン様は余裕の表情で。

 でも――――。


 「どんなに待ったって、私はアルヴィン様ともイル様とも口付けはしませんから!」


 







一応、アルヴィンにも礼儀はあるんです。

一国の王子様ですから。



イルとリイナ、そろそろくっつけたいんですけどね~。

…恋のキューピッドは、私には向いてないみたいです(笑)。

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