「口付けなんて、如何です?」
「まぁ……、リイナ様……」
口に手を当て、私を見るお妃様。
あ、ちょっと、何言ってるの私。そう思っても、もう手遅れで。
「あっ、えっと、あの……」
お妃様を見て、曖昧に微笑む。
きっと、ふざけないで、って言われる。そう思ったのに。
「あ……っはははは」
お妃様は、笑った。
とても、楽しそうに。
「え……? お妃様……?」
きょとん、と私が見ても、お妃様は笑い続けて。
「あ、あは、あはは……」
とりあえず一緒に笑ってみよう。
そう思って笑い始めた私を、イル様がぎろっと睨んだ。
「姫。何故貴女が笑うんです」
「え、いや、なんとなく、ですけど……」
「……」
もう見飽きたけれど、イル様はまたこめかみを押え、はぁっと大きなため息をつく。
「本当に……、貴女を見ていると、頭痛がします」
「なっ……、さ、さすがに今のは、私もやっちゃったと思いましたけど……っ!」
「貴女はいつも、口や手が先に出過ぎです。もう少し頭で考えてから行動しては?」
「そ、そういうイル様だって私に失礼なことばかり言うじゃないですか!」
「それは……、否定できませんが」
ぐ……、と黙り込んだイル様。
勝った! と思っても、私もイル様の言った通り、“口や手が先に出過ぎる”という自覚はあって……。
お互いに、黙り込んでしまう。
そんな私たちを見て、お妃様はまた笑った。
「リイナ様、貴女は面白いお方ですね」
そう、満面の笑みで私に言うお妃様。
イル様は、母上……、と頭を抱えている。
「あの、お妃様、それはどういう……?」
「あ、いえ、良い意味でですよ。リイナ様がイルの許嫁で嬉しいですわ」
「母上……」
はぁ、と大きなため息をこぼすイル様。
なぜ、この国王様とお妃様の間にこんなイル様が誕生したのか、不思議で仕方ない。
「そうねぇ……」
ひとしきり笑うと、お妃様は何かを考えながら言い出した。
「リイナ様がここに滞在するのは、あと三日。その最終日に、国民に向けてイルとリイナ様の婚約を発表するわ」
「母上、兄上と決まったわけではありませんよ」
素早く言うアルヴィン様を、お妃様は、はいはいと軽くあしらった。
イル様とアルヴィン様とアリス様を生んだだけある。何事も無かったように、話を続けるお妃様。
「その時、二人にはバルコニーに出て国民に顔を見せてもらおうと思っていたんだけど……」
そこで、悪戯っぽく微笑むお妃様。
何故か、口調が敬語でなくなっている。
「そこで、イルがリイナ様に口付けしちゃったらどうかしら」
……そう聞こえたのは、私の聞き間違いですか?
どうかお妃様、そう言って下さい。
更新遅くて申し訳ありません。
といいつつも、最近は読んでばかりの私。←
そして、タイトルの台詞、てけとーで(ry。
なんか、そのままもなー…ってカンジだったので。
お妃様、口付けなんかでこの二人がくっつけば何も苦労はないのさ(笑)。