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「イル様との距離を、縮める気などないけれど」


 「で、兄上、兄上はリイナ姫を街に放って、アリスとチェスを楽しんでいた、というのですか?」

 

 呆れた目をしながら、アルヴィン様がイル様に本題をぶつけた。

 アリス様と話していたら、いつまでたっても本題に入れないと思ったのだろう。


 「それは、すまないと思っている。だが、お前とすぐ落ち合えただろう?」

 

 そんな答えを聞いて、はぁー、と大きなため息をつくアルヴィン様。

 

 「確かにすぐ落ち合えましたが、リイナ姫は街の男に軟派されかけていたのですよ?」

 「な……、本当か?」


 驚いた様子で、イル様はアルヴィン様に問い返した。ええ、とアルヴィン様が答えると、次は私の顔を見た。こく、と私は頷く。それを見て、


 「それは……大変申し訳ありませんでした、姫」


 素直に頭を下げ、そう謝罪をするイル様。

 こうも真っ向から謝られると、文句を言うに言えなくなる。


 「い、いえ……。あの、アルヴィン様に助けて頂きましたし……」


 おろおろとしながらも、結局はこう言ってしまう私。

 ああ、文句を言うチャンスは今しかないのに!

 心の中で、私はそう叫ぶ。そんな私の背中を押すように、

 

 「いえ、リイナ姫、ここはしっかりと兄上に文句を言うべきですよ」


 アルヴィン様がそう言った。

 

 「で、でも……あの、素直に謝られたのに文句を言うのは気が引けるというか……」


 アルヴィン様とイル様を交互に見ながら呟く。

 そうですわ、という高い声が、私の言葉に被さるようにした。


 「イルお兄様に全く非はありませんもの。リイナ様が文句を言う筋合いなんて、少しもありませんわ」

  

 そうでしょう? 言葉に出さずとも、怒った猫のような眼が私にそう言う。

 でも、そんな眼をしながら言われても、今のアリス様の発言には無理がある。

 

 「え……っと、あの、イル様に非がないというのは少し違う気が……」

 「イルお兄様に非があると言うんですのっ!?」


 私が言葉を言いきらないうちに、噛み付いてきたアリス様。

 私に非がなくとも、すみません、という気持ちになる。


 「いや、あの、なんというか……」

 「リイナ様、イルお兄様に非があるなんて、そんなことあるはずが……」

 「アリス」


 アリス様の言葉を遮ったのはイル様。

 彼女を止められるのは、この世でイル様しかいないのかもしれない。


 「いい加減にしろと、何度も言っただろう? それに、お前は姫に突っかかりすぎだ」


 少し呆れた声で言われて、アリス様はむうっとむくれた。


 「酷いですわ。リイナ様ばかり擁護(ようご)して」


 その言葉に、私は耳を疑った。

 イル様が、私ばかりを擁護する? それはさすがに言い過ぎでしょう。

 でも……よく考えてみれば、擁護すべき時は擁護してくれているし、イル様はちゃんと冷静に私と接してくれている気がする。

 ……もっとも、“冷静に接する”と、本来婚約者同士が抱くはずの“好意”は全くの別物だけど。


 やはり、数日間いっしょに過ごしても私とイル様の間には、まだまだ距離がある、と思った。


 ……それを、縮める気などさらさらないけれど。














更新が遅れて、申し訳ありません。


そして、その上迷走中で……。本当、読んでくださってるのに申し訳ないです(><)

でも頑張って完結させようと思うので、のんびり付き合っていただけると嬉しいです。



……てか、完結するためにも、早くイルとリイナにはくっついて欲しい(笑)。

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