「無視するなんて、可愛らしいお顔に似合いませんよ」
「とにかく、ここはああいう男がたくさんうろついています。とりあえずこの路地から出ましょう」
「そうですね」
アルヴィン様だった……という事実は置いておいて、地理に詳しい方が来てくれて良かった。
そんなことをぼんやりと考えていると、アルヴィン様が私の正面に立った。そして、
「では……リイナ姫」
そう言って、手を私に差し出してくる。
意味が分からない。この手を……どうするの? 首を傾げている私に、アルヴィン様はにこっと笑いかける。
「城までエスコート致します。どうぞお手を」
「……へっ!?」
この街中で、この大勢の人々の中をアルヴィン様に手を引かれて歩く?
そんな恥ずかしい事、絶対に嫌だ。
「いえ、あの、結構ですから。本当に大丈夫ですから。私、アルヴィン様の背中を見て歩くので」
ぱたぱたと手を横に振りながら、アルヴィン様の申し出を拒否する。
しかし、アルヴィン様はきらきら笑顔を崩さない。
「いいえ、そんなことは言わずに。リイナ姫の手を引いて歩くことこそ、レフシア王国王子最大の誇りです」
……いえ、あの、意味分かりません。というより、やはりアルヴィン様の“誇り”の基準はおかしいのではありませんか?
そんな言葉を飲み込んで、
「いいえ、本当に大丈夫です」
そう言って、さっさと歩き出す。
手を引かれないうちに行こう。そう思っていたのも束の間、
「リイナ姫、そちらは反対方向です」
そんな声が、後ろからした。
******
方向を間違えたのが恥ずかしくて、私はすたすたと早足で歩く。
そんな私の後ろを、くすくす笑いながらついてくるアルヴィン様。
「……アルヴィン様、いい加減笑うのをやめてくださいませんか」
そう言いつつ振り向くと、口元を押え、やはりくすくす笑うアルヴィン様。
悔しいけど……、必死に笑いを堪える姿も美青年。たぶんこの兄妹は、容姿に恵まれた分性格に恵まれなかったのだろう。
イル様は性格と口が悪い。アリス様は、私はイル様を好きじゃないのに目の仇にする。そしてアルヴィン様は……、
「すいません……あまりにリイナ姫が可愛かったものですから」
こんな台詞を、軽々という。
よし、これは流そう。心の中で宣言して、私は前に向き直り、再び歩き始めた。
「おや、無視するなんて、可愛らしいお顔に似合いませんよ」
しかし、アルヴィン様はそんなことを言いながら、私の横を歩く。
ああ、誰か、アルヴィン様をどうにかして――――!
す、ストックが!
やばいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ(ry。
少しずつ書いてるんですが……、ストック、残り一話;;
来週の分はありますが、週一更新が出来なくなったら申し訳ありません(汗)。
……最後に、言い訳という名の理由を(理由という名の言い訳?)。
高校、忙しい――――――――――――ッ!




