「リイナ姫のお心は、この私に向きますから」
「この城に滞在中に、リイナ姫を私に振り向かせることが出来れば……リイナ姫の婚約者を兄上から私に変更してもらえませんか?」
アルヴィン様がそう言った瞬間、その場にいる人々は固まった。もちろん、私も含めて。
そして、長い沈黙を破ったのは―――、
「がはははは、アルヴィン、何を言っておる?」
国王様の、豪快な笑い声だった。
「父上、私は本気ですよ? 現に、私がこんなにも女性に惚れたのは初めてだと、父上も仰ったではありませんか」
「確かに言ったが……。リイナ殿はイルの婚約者。これは両国の間での取決めだ」
国王様はそう言って、なぁ? と同意を求めるようにお妃様を見る。
こくっとお妃様は頷いた。
「兄上は第一王子、私は第二王子―――。その差でしょう? ルーン王国の王女と、レフシア王国の王子。その身分には違いありません」
「まぁ……もちろんそうだが……」
「では、許してくださいますか? 父上。私は本気です。ルーン王国の国王陛下も、許して下さるでしょう」
アルヴィン様の言葉に、むむむ……、と考え込む国王様。
そして、私へ視線を移す。
「……アルヴィンはこう申しているが、リイナ殿のお考えは?」
「えっ、わっ、私ですか……っ?」
いきなりの国王様の問いに、私はおろおろとイル様、アルヴィン様を見る。
お考えは? と聞かれても、私はどちらに好意を持っているわけでもない。寧ろ、両方とも結婚なんかもってのほか、といった思い。
「あの……私は……別に……どちらでも……」
むしろ、レフシア王国の王子意外となら、という言葉は飲み込む。
「聞いたでしょう、父上? リイナ姫も、こう言っていることですし」
アルヴィン様の言葉に、国王様はむむむっと考え込む。
ちなみに、イル様はそんなアルヴィン様を見てすっかり呆れている。
「……良いだろう。リイナ殿を振り向かせることが出来るかどうか、やってみたら良い。だが、私はあくまでイルとリイナ殿の結婚を推すぞ」
……イル様も、ご勘弁願いたいのですが。
私の心の呟きは、
「ありがとうございます。見ててください、父上。リイナ様のお心は、この私に向きますから」
といったアルヴィン様には聞こえない。
ちなみに国王様は、この事態をすっかり楽しんでいる。やっぱり、私はアヴィンセル家の人々とは仲良くなれそうにない。
明日英検なので、早めにup。
前回に引き続き、短いです。
理由は二つありまして……。
切りが良い(?)のと、ストックが無い。←
……書きたい! 書きたいんですけど……時間が無い!
ああ、神様、私に時間をください←