表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/60

「リイナ姫、私の自室でゆるりと語らいませんか」


 「―――様? 姫様?」


 ナミの声が、遠くで聞こえる。私は、重い瞼をゆっくり開けた。

 ふわふわのベッドに寝ている。私の寝室……というか、客室だ。そして、


 「姫様! 大丈夫ですか?」


 そこには、ナミ。―――なんで、ナミ?

 私の記憶は、イル様とアルヴィン様をお酒に誘って―――そこで、終わっている。


 「ナミ……私……あの後、どうしたの? 記憶が真っ白……」

 「えっと……だ、大丈夫です! 姫様は何にもされていません! アルヴィン様のしつこいお誘いは、私がきっぱりお断りしましたから! 姫様はアルヴィン様のお部屋の敷居を、一足も跨いでいませんから!」


 ナミが、そう熱く言う。

 

 「……え、ナミ、私、昨日、本当に何があったの……?」


 ナミの言葉に、少なからず……というより、とてつもなく心配を感じる。

 私の心配そうな顔を見て、ナミは慌てて手をぶんぶんと振った。


 「いえ、あの、本当に何にもありませんよ? アルヴィン様が『リイナ姫、私の自室でゆるりと語らいませんか』と言っていて、姫様は『ええ、是非……』と言っていましたけど、私がきっぱりお断りをしましたから!」

 「……ナミ、私、『ええ、是非……』って言ったの……?」


 耳を疑う言葉を聞いて、私は思わず聞き返す。

 ナミは言いづらそうにしながら、頷いた。


 「……いやーっ! もう嫌、私、帰るわ! ルーン王国に帰る! アルヴィン様にもイル様にももう会えない! 会いたくないし!」


 私はそう叫びながら、掛け布団を被る。

 ちょっと飲んだだけが、そんなに恥ずかしいことになるなんて思いもしなかった。


 「ええ姫様、帰りましょう! 私も姫様に賛成です! いますぐ荷物をまとめるので―――」

 「ナミ」


 ナミの言葉は、ユアンの声によって遮られた。

 この状況でいちゃいちゃするの……、と思い、私は布団から顔を出す。


 「ユアン! どうしたの?」

 「今すぐルーン王国に帰る、とか駄目だぞ。ナミ……君は賢いから分かるだろう?」

 

 ユアンはそう言って、ナミの肩を抱く。

 だから―――なんで王女(わたし)が恋愛で悩んでるのに、その侍女(ナミ)騎士(ユアン)がいちゃいちゃラブラブしてるの!


 「ユアン……分かっている、けど……。でも、姫様があまりにもお可哀想で……」

 「君の気持ちは、リイナもよくわかってるさ。俺も、ナミの気持ちは凄く分かる。でも……耐えられるよな?」


 ユアンはそう言って、ナミの瞳を見つめる。

 ナミは頷いた。……私の意見より、ユアンの意見なのかしら。

 ユアンは頷くと、今度は私に目を向けた。


 「そうだ、リイナ。イル王子からの伝言だ」

 「イル様から!? ……何?」

 

 警戒心を丸出しにして聞いた質問。その答えは、信じられないものだった。


 「今日、イル王子やその家族で茶会をするから、リイナも是非参加を、だってさ」

 「……それ、本当の話?」


 ユアンの言葉に、私はかすれた声で尋ねた。

 イル様に、アルヴィン様に、アリス様。そして、あの衝撃的な色合いのドレスを着ていたお妃様と、豪快な国王様。

 物凄く濃いお茶会になりそうだ。


 「本当本当。今は11時で……茶会は1時からだって。ま、昼食会ってところだな。これ、ここに来る途中でイル王子に貰った手紙」

 

 ユアンはそう言いながら、私に白い封筒を渡す。

 表には、アヴィンセル王家の紋章。中に質の良い紙が入っていた。


 「リイナ様、本日1時より、茶会を開きたいと思っております。

 是非、我が国の第一王子イルの婚約者であるリイナ様もご参加いただきたく、筆を執った次第です。

 では、良い返事を心待ちにしております。……レフシア国王」


 ナミが横から、その文面を音読する。


 「……姫様、如何いたします!? 姫様お一人であの家族の中に飛び込むなんて、一羽の兎が虎の穴に飛び込むようなものですよ!?」

 「……ナミ、その例え、すっごく行くのが嫌になる……」

 「リイナ、行かないのは王女としても婚約者としてもだめだぞ」


 そんなの分かってる、と、心の中でユアンに突っ込む。


 「……分かった。早くお茶飲んでお菓子食べて、早く帰ってくる」


 私のその言葉に、ユアンはため息をつく。


 「普通にイル王子達と会話して来いって。てか、王族同士の茶会は食事がメインじゃなくて会話がメインだから」

 「……もう、ユアンはなんでそう正論を言うのよ」


 私はうなだれながら、茶会用のドレスを探す。

 

 「着替えるから、ユアンは出てて。行くわよ、話すわよ、飲むわよ! イル様とアルヴィン様以外と話してるから!」

 












新年、明けましておめでとうございます!

今年もどうぞ、この小説と私、羽月紫苑をよろしくお願いいたします。


そして、一つ謝罪を。

……いわゆる「タイトル詐欺」ですよねすいません! 

ストーリー中に、良さげな台詞が見つからなかったのです。


ちなみに短くてすいません! 次は2000字超えてます。茶会です。イルもアルヴィンもキャラ発揮ですので、乞うご期待! です(なんて(笑))。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ