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「私は、ふざけた女性は嫌いなのですが」

 「リイナ様! お早く! もう陛下は大広間にお着きですよ!」


 侍女の慌てた声に、私はおろおろと走る。


 「い、今行きますッ!!」


 どたばた、という効果音が聞こえて来そうな私の様子に、お母様はため息をついた。

 お母様に言わせると、私はいつもどこか抜けているらしい。国王であるお父様もお母様も、どちらかと言えば切れる方だ。……私自身、一体誰の血かと疑いたくなる。

 私は、本当にお母様とお父様の娘なのだろうか。

 ……なんて、シリアスなことは考えない。だって私は、人によると天然だから。


 「お、お母様ッ!! 遅れてしまって申し訳ありませんッ!」


 ぺこぺこと、私はお母様に謝る。怒ると怖いんだ、これが。お母様は私を見て、もう一度、大きくため息をついた。


 「早く、大広間へ行きましょう。もう隣国のイル王子は待ちくたびれているわ」


 お母様の言葉に、私はこくこくと頷く。決められていただけで会ったことも無い婚約者なんて何時間……いや、何日待たせたって罪悪感はないけど、国の為だもんね。

 そんな私を見て、お母様は苦笑交じりに呟いた。


 「でも、婚約者と初めて逢う日に寝坊するなんて、貴方らしいわね」



               ******



 大広間に、煌びやかな一行がいた。

 このルーン王国の隣国、レフシア王国の王子の一行である。

 むすっとした王子の前には、王座。そしてその王座に座っている王は、冷や汗をだらだら流していた。


 (あの馬鹿娘。なぜ今日と言う大事な日に寝坊などするのだ!!)


 心の中で文句を言いながら、顔はなんとか笑顔を浮かべる。といっても、人から見ればそれは笑顔には程遠かった。


 「こ、国王陛下ッ!!」


 慌てた様子の侍女が、扉を勢い良く開けて入って来た。

 

 「どうした」

 「リイナ様が、ご到着です」


 侍女の言葉に、王ははぁーっとため息をつく。


 「やっとか……通せ」

 「はい」


 侍女が扉の奥に引っ込んだのを見ると、王は王子……イルへ視線を移した。

 マッハで、顔に愛想笑いを浮かべる。


 「お待たせして申し訳ありません。娘の準備がやっと整ったようです」


 王の言葉に、イルは少し微笑んで頭を下げた。

 もちろん、心の中では遅刻した王女に怒りが沸騰だ。


 「……お父様、お客様。お待たせして申し訳ありません」


 扉の向こう側から、蚊の鳴く様な王女の声がした。ぎぎぎぎ……と、扉がゆっくり開く。

 現れたのは、緩くウェーブした金髪で、緑の瞳の美しい少女だった。真っ白な肌によく合う、薄いブルーのドレスを着ている。リイナである。

 リイナは、イルの方を向き、深くお辞儀した。


 「イル王子陛下。また、その御一行様。お待たせして、本当に申し訳ありません。

 ルーン王国第一王女、リイナ・レンスリットと申します」


 リイナに、イルも頭を下げる。


 「お初にお目にかかります、リイナ王女様。

 レフシア王国第一王子、イル・アヴィンセルと申します」


 優雅に礼をするイルを見て、リイナの頬は赤く染まった。

 にっこりとほほ笑みを浮かべ、ゆっくりとリイナはイルに近付く。そして――――


 「イル様……。これから、どうぞよろしくお願いしま……ッ」


 転んだ。ずべっと間抜けな効果音が聞こえてきそうなくらい激しく。


 「きゃあっ!」


 悲鳴だけは王女らしく、転び方は派手に。そんなリイナを見て、イルは凍りつく。

 そして、やっと彼が口にした言葉。それは――――


 「……私は、ふざけた女性は嫌いなのですが」















息抜きで書きました。

甘い目で見てくださ(ry。 嘘です。どんどん間違いなどの指摘、して頂けると助かります。


……そして、時間無いとか嘆いてるのに掛け持ちしてすいません(汗)。

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