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「“立てば芍薬、座れば牡丹、動く姿はラフレシア”だな」

 アルヴィン様はなんのつもりか、そのまま私のベッドに座る。


 「ルーン王国のリイナ姫は美しい王女だ、って聞いてたけど、本当ですね。

 流れるような金髪、麗しい瞳、透けるように広い肌、ピンクの唇。鳴呼……美しい」


 そう言って、私を見つめるアルヴィン様。

 い、い、い……いやーっ!! 気持ち悪い、変態、女たらし! そんな言葉が、私の頭の中でぐるぐるする。

 でも、いくら変態で気持ち悪くて女たらしっぽくても一国の王子だからそんなことを言うわけにはいかず……。


 「そ、そうですか? お褒めに頂き光栄ですわ、アルヴィン様」


 そう言って、私は引き攣った笑みを浮かべる。

 でも、アルヴィン様は眉をひそめた。


 「リイナ姫、そのような無理な笑みは麗しい貴女には似合いませんよ。

 さぁ、心の奥からの美しい微笑みを、さぁ、そのお顔に」


 そう言って、真っ赤な薔薇を差し出すアルヴィン様。

 この方は、本当にイル様の弟君なのだろうか……。


 「あのお妃様に、国王様。そしてこのアルヴィン様……どんな遺伝子をしているのかしら」


 私は思わず、そう呟く。 

 もしかして、イル様は本当の王子ではないという展開!? それが公になったら、きっと私は結婚せずに済んで……。


 「リイナ姫、可愛らしいお顔で何を考えているのですか?」


 私の考えを中断したのは、アルヴィン様の気持ち悪い台詞。

 

 「あ、いえ、別に……。何でもありません」


 そう言って、私はにっこりと微笑む。

 考え直してみれば、そんなことはないだろう。アルヴィン様のキャラにあまりにも驚きすぎて、頭がどうかしていたのかもしれない。


 「そうですか。それにしても―――」


 アルヴィン様はそう呟いて、私を見つめる。

 

 「兄上はリイナ姫について、『“立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花”ならぬ、“立てば芍薬、座れば牡丹、動く姿はラフレシア”だな』と言っていたのですが……」


 はい? アルヴィン様の言葉に、私は固まった。

 立てば芍薬座れば牡丹。ここまでは、嬉しい。でも……動く姿はラフレシア(、、、、、、、、、)

 怒りでふるふる震える身体。ここにイル様がいなくて、本当に良かった。


 「私は、まったくそうは思いません。貴女の魅力は、どんなに美しい花よりも更に美しい。

 世界一の庭師が育てた花も、貴女の前では霞むでしょう」


 そう言って、“めろめろ”という言葉がピッタリな瞳で私を見つめる。

 ああ……誰か、この変態王子をどうにかしてーっ!!


 「アルヴィン」


 私の心の叫びが届いたのかどうなのか、その時ドアが開いた。

 助かった、と思い、私はドアを見る。でも、そこにいたのは――――、


 「イル様!?」

 「兄上!!」


 イル様。なんで、来たのがこの人なの!!

 私は心の中でそう叫ぶ。ナミが来てくれたら良かったのに……。


 「兄上、どうしてここへ?」

 「どうしても何も……。お前が姫の部屋へ行ったと聞いたからな。お前のことだ、ふざけた言葉をずっと並べていたんだろう」

 「ふざけた言葉、とは、心外ですね」


 そんな会話を続ける、兄弟()

 今の状況は最悪だ。部屋にいるのは、私とイル様とアルヴィン様だけ。まさに地獄。


 「あの、イル様、アルヴィン様。失礼を存じて申し上げますが、もうそろそろ出て行ってもらえませんか。休みたいので」


 『精神的に』という台詞は、呑み込んだ。 

 二人は一斉に私を見る。


 「そうですね。私は、別に姫と同じ部屋にいる理由はありませんし。アルヴィンを探しに来ただけなので、これで失礼」


 イル様はそう言うと、アルヴィン様の首根っこをむんずと掴む。

 そして、ドアに向かってずるずると引きずって行く。


 「ちょっ、兄上!! やめてください、私はまだリイナ姫を口説いていて……」

 「アルヴィン、なぜお前が私の婚約者を口説く。お前には仲の良い姫がたくさんいるだろう」

 「だって、あの姫は可愛くないし、美しくもないのですよ? ただの友であり、恋人ではないのです。私は、リイナ姫のような姫が妻に欲しいのです」

 「あの姫は、見かけ騙しだ。見かけだけで判断していると酷いことになるぞ。私がどれだけ恥をかかせれたか」

 「兄上は硬すぎるんです。私は、少しくらい抜けている女性が良いですよ」

 「あれは少し(、、)抜けているのではない。寧ろ、全てが抜けているんだ。抜けているから作られているというのが等しい」

 「兄上、言葉がおかしくなっています」


 ひっぱられながらも反論するアルヴィン様と、それを私に対してかなり失礼な言葉で返すイル様。

 本当に、この兄弟は最悪だ。

 

 「ああ、そうだ、姫」


 イル様がふと思い出したように振り返る。


 「今宵は貴女の歓迎の宴のようです。後でこちらの侍女が参ります」


 そして、こう付けくわえた。


 「何度も言いますが、どうか、私に恥をかかせないでください。この国の上流貴族や、異国からの賓客までお越し下さるのですから」


















 

変態王子、アルヴィン、ついにその本性を現しました←


彼は、外見はイル同様良いのですが……中身の気持ち悪さというか、くささが、それを台無しにしてますね。←

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