逆再生
少し胃の調子を悪くしていた平日の朝。
不憫に思った神様が奇跡を起こしてくれた。
学校に行こうとドアノブに手を掛けた瞬間、僕の意識とは無関係に体のみが逆再生を始めたのだ。
「行ってきます」
僕は言葉とは裏腹に靴を脱ぐと、後ろ歩きで自宅に上がり込む。
「学校嫌だなぁ」
不登校児さながらの悪態をつきながらリビングに向った。
それからテーブルについて椅子に座ると一言。
「ごちそうさまでした」
手を合わせてから朝食を吐いた。
執筆してみるまでは200文字小説がこんなに奥深いものだとは思いもしませんでした。決められた文字数にしなければならないというルールにクロスワードパズルのような魅力を感じます。