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第3話 チュートリアルはスキップしがち




「あらゆる人間が私を人間から切り離す」

エミール・シオラン


「うぉい、わかんねーよ」


「どうゆうぅ、事かちゃんと説明しろよ、おい、聞いてんのか」


「はぁ、疲れちゃうわね、子供の相手わ」


「どうしようかしら、とりあえず外に出てくれるかしら」


「うぉぉぉぉい、無視かよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


大変に元気である、この世界が夢だとしても耳がキーキーする。


けん玉に、そして緑、うん、あれはアガアスのNレアのゴブリンだよな、


しかし、ゲームで見るより汚いというか、、


腰に巻いてるドブ色の布は鼻につく匂いがする、酸味と牧場の糞尿を合わせた、もはや色を伴って近くに寄ってくる感じがする。


しかし、意外と大きいんだな、目線としては見上げる形になる。


そんで、こんなに感情が色づいているというか、中学生男子みたいな。


ブスブス言いながら、ガニ股の大きな歩幅で闊歩する姿。


さるかめを行いながら、リズムよくふわふわ浮かぶ赤色の玉は出口へと向かう。


「まぶしっ」


誰かが、つぶやく。


潮の匂いがする。少し風が心地よい。


日のあたる坂道を自転車で駆け上る〜。


ジブリみを感じる空気に少しだけ、落ち着く。


あまりに現実離れした場所から、生きている場所へ移動できたからか。


おかしくないか。え、いや、そんな感情、まぁ夢だから楽しむしか、な、、うん。


「少し移動するわね。」

「ふんふふん〜♪」


大変機嫌が良いけん玉だな。


数分ほど歩くと、全体の動きが止まる。


先ほどからざわざわと不安が漏れ出ていた声とは違い、動揺が含まれる声色をしている。


「はい!到着〜」

「さぁ、皆入りなさい」


「おい」

「流石に説明がなさすぎるんじゃないか」


あまりにも、蝶⚪︎だ、野太く男を感じる声が聞こえる。


先ほどの中学童貞と違い、成人男性くらいある身長のゴブリンが声を発する。


神殿では奥にあぐらを描いて静観していた男はあまりに理解ができなかったようだ。


「だから、これからステージに行くの、今回はお試しみたいなものね」


「俺は、死んだはずだ」


「しかしなぜだ、なぜ死んだか思い出せない」


「答えろ、そこの赤いやつ」


「そうね、思い出せないのはあなただけじゃないわ、でも答えは全てこの先にあるわ」


剣先が指し示すのは、エトワール凱旋門を彷彿とさせる大きな門。


「ゲートの先、あなたが生きていれば少しずつ理解できるはずよ」


「生きていればだと、くぁははは、面白い」


ゲームキュー⚪︎の起動音みたいな電子音が聞こえる。


先が見えていた、今見えるのは光が強い青色。


ゲートと呼ばれる門の入り口は、先ほどとは違い様相を変える。


大柄なゴブリンは、躊躇いなく進む。"


"そうして、自分は戻ってきたんだここに。


最初は夢であると錯覚していた。


理解を拒んでいたのだ。


だってそうだろ、自分がスライムになり


アガアスの世界にいる。ラノベの中の話で留めておいてほしい。


現実は甘くない、自分に意思があるのは良かった。


しかし、自分は本当に運がない。


世界が変わってもレア度は最低のNノーマル


最底辺のキャラであるスライム。


人間になることもできず、悪側になる。


育てるプレイヤーも少ないため、基本ボックスのお荷物か


はたまた、合成の種になる。


種だと、種。忘れていた。そうだ、生き残っても合成されることを。


しかも底辺である自分は格好のキャラではないか。



「そこの」


スライムは驚きやすいのだ、後ろから声をかけないでほしい。

(本人の特性である)


振り返ると、佇んでいた。


座っている姿だけで絵になる。


美術館に行くことは無いが、絵画を眺める人の気持ちが少しわかった。


人は惹きつけられるんだと、美しいに。


「名前は?」


「いや、失礼か、私はバロク」


「狼族だ。」


簡潔な自己紹介に好感を覚える。長い肩書きは不要なのだ。


「えっと、」


そういえば、名前はどうすればいいのか。現実世界の名前か、いや日本名のスライムってどうなのか。


えっと、そうだ。


「ヌース」


咄嗟に出てきたのは、プレイヤー時代の名前。


2年間本当の自分だった名前。



「ヌースか、よろしく」


よろしくと答える間もなく、アナウンスが頭に響く。


「合成するキャラを選んでください」


チュートリアル、そう、自分もそうしてきたように


プレイヤーに教えるのだ、ゲームの遊び方を


そして、キャラの育成方法について教えないはずがない。


「あぁ」


「あ、ぁ、う」


「ルッツが選ばれました。」


「バロウへ合成を行います。」


「ん、神殿とやらに行けば良いのか」


空を見つめながら、バロウは歩き出す。


ルッツと呼ばれるのは、誰か、彼か


声が聞こえていた方へ視線を向けると、


汗と涎を垂らしたゴブリンがいた。


チュートリアルには参加していないやつだった。


え、自分はほっとしていたのか。


確かに、彼はモンスターであるし自分は人間。


いや、違うか。


でも生きているものがどうなるのか、わかると


自分が選ばれなかったことについて安堵するのは。


少し床が湿っていた。


本能でわかるらしい、自分がどうなるのか。


叫び声だけが聞こえ、後ろ向きに歩くゴブリン。


神殿の扉は閉められ、空気が張り詰めていた。


「バロウはレベル6になりました。」


無機質なアナウンスがより緊迫感だけを強く感じさせる。


死か


「12345は、ステージを選択しました。」


「メンバーを選択します。」


「バロウ、アスト、ヌース・・・・・・」


「ゲートを潜ってください」


「あら、マスターからもう次に指令が来たわよ」


「準備した方から、ゲートへ向かってね、

あっでも、2分後に強制的に入るからさっさと向かうのよ〜」


その時は、目の前に表示された自分の名前しか目に入らなかった。


「クソが」


いいね、コメントいただけると大変喜んで飛び上がります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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