Old friend
「ここから入るぞ。」
ハンブレットは路地の真ん中に立ち止まって言った。
「ここに入口があるのか?」
クロロは不思議がった。周りには扉らしきものもなく、両側を壁に挟ませたただの狭い道だったからだ。しかしハンブレットが壁を剣で叩いてみると、壁が動き出し、中にエレベーターのようなものが現れた。
「これで地下深くまで移動するぞ。」
クロロは言われた通り乗り込んだ。するとエレベーターは自動で動き出し、勢いよく地下へ潜って行った。数分間の下降の後、ついにエレベーターが停止し扉が開いた。すると目の前に驚くほど大きなスタジアムが現れた。古代ローマのコロッセオのような見た目をしているが造りはかなり頑丈そうだ。
「ここが俺たちの試合場だ。想像してたよりでかいだろ。」
ハンブレットは笑って言った。クロロは会場の大きさに圧倒されながらハンブレットの後についていき、参加の申し込みへ向かった。参加申請は個人識別データの登録のみで思いのほかあっさり終わった。どうやらトーナメントは3日後に始まるらしい。3日後に死ぬかもしれない、その割にはクロロは平然としていた。まだ実感が湧いていないのかもしれない。ハンブレットは時間を持て余したかのようにクロロにアンダーフロアの案内を始めた。
「ここがアンダーフロア唯一のショッピングエリアだ。ここなら日常生活に必要なモノから上じゃ手に入らないモノだって何でも揃ってる。」
道幅の広い大きなストリートの両側に出店が所狭しと並んでいる。行き交う人の見た目は清潔ではない。さらには人の多さの割にとても静かだ。その様子を見てクロロは不気味がり急に不安な感情になった。そんな気持ちになりながら歩いていると前から高そうな剣を下げた銀髪の男が歩いてきた。そしてその男がクロロの顔を覗き込んで話しかけてきた。
「おい、クロロじゃないか!」
クロロはまさかこんなところで自分の名前が呼ばれるとは思わず驚いた。よく見ると声をかけてきた男には見覚えがあった。
「ジルケンか?おまえこんなとこで何してるんだ。まさか、おまえも参加するのか?」
「そのまさかだよ!ということはクロロも参加するんだな。」
銀髪男の名はジルケン・クラーク。クロロとは傭兵時代に多くの戦地で共に戦った旧友だ。おとなしい性格のクロロと比べ、ジルケンは明るい性格でよく喋る。彼もまた職を失いここへ流れ着いたのだろう。
「クロロもここへ来てるとはな。つまり俺たちは3日後に殺し合うかもしれないってことだな。」
ジルケンは緩んだ表情を堅くして言った。その言葉を受けてクロロは改めてこのトーナメントの恐ろしさを理解した。




