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Underground

男に言われた角の席は近づいてもやはり暗かったが、そこに1人の男がいることは明らかに分かった。ボックス席の隅に座るその男の対角線上の席にクロロは腰掛けた。


「面白い話があるって聞いたんだが、教えてくれないか。」


男はクロロの話を聞きているにもかかわらず無視をした。クロロは少しムッとして再び話しかけた。


「おい、聞こえてるだろ。教えてくれ。」


すると男はフードを被った顔を一切動かさず聞いた。


「お前、元傭兵か?」


「あぁ、そうだが。」


クロロは想像していたよりも低い声に少し驚いて答えた。


「お前のような奴を何人も紹介してきた。だが1人として無事に生きちゃいない。それでも、やるか?」


男はフードを脱いでクロロを見ながら言った。隣の客が言っていたようにクロロと同じ人間で、うっすら髭が生え、髪は長く、手入れをしていなそうだった。よく見ると体の横には剣を携えている。


「1人も生きてないって、一体あんた達は何を紹介してるんだよ。」


クロロは恐れながら聞いた。


「殺し合いだよ。イカれた金持ち達のためのな。」


男はそう短く答えた。少し間を空けてクロロの驚いた顔を見た後に続けて説明を始めた。


「この惑星ローデには地下深くにアンダーフロアと呼ばれるもう一つの街がある。そこじゃ法なんて存在しない。なんでもありの世界だ。地上にいる奴らのほとんどはその存在自体も知らねえ。警察やら行政やらは存在を知っちゃいるが黙認して隠してやがる。俺たちはそのアンダーフロアで殺し合いをしてる。キルギオン星系中の名の知れた大金持ちたちがコソコソやってきては大金賭けてバカみたいに盛り上がってるんだ。要は権力者の娯楽だ。俺たち戦士はそこのトーナメントで勝って生き残ったら莫大な金が貰える。だからお前みたいな元傭兵がこぞって参加してんだよ。」


クロロは衝撃的な内容に大きく驚きながらもやはり、『莫大な金』という言葉が強く印象に残った。クロロは慎重に聞いた。


「莫大な金って、いくらなんだ?」


男は少し呆れながらもうっすら笑みを浮かべて言った。


「お前が見たこともない額だ。人生10周は遊んで暮らせるだろうな。」


「じゅ、10周遊んで暮らせるだと、!?」


クロロはその性格らしからぬほどの声量でそう言い立ち上がった。


男はハハハッと低い笑い声をあげて言った。


「さあどうする、やるか?」


クロロの頭の中にありとあらゆる考えが駆け巡った。殺し合い、莫大すぎる金、命を賭けるということ、今の暮らし、、、。クロロは立ち上がりながら冷や汗を一滴垂らして笑みを浮かべ言った。


「もちろん、やるさ。」


男はもう一度フッと笑い、相変わらず低い声で言った。


「俺はハンブレット・ライツァー。よろしくな。」


クロロも続けて名乗った。


「俺はクロロ・グテー。そういえばハンブレット、あんたさっき"俺たち戦士"って言ったよな。てことはあんたも参加者だ。しかも一度参加したことがある口ぶりだし。」


さらにクロロはまさかといった表情を浮かべて言った。


「じゃあ、なんで生きてるんだ??」


ハンブレットは再びニヤついて答えた。


「俺は前回の優勝者だ。」






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