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3

契約が完了したとはいえ何が変わったのかは分からない。私は自分の胸に手を当ててみるけれど、よく分からない。


「どうした。自分の胸に手を当てて。」


「本当に契約は完了したの?何が変わったのかは分からないけど…」


「契約は完了した。今まさに俺の中にお前の魂が共存している。お前の身に変化が起きることはない。だがもし俺の鼓動が止まったとき、お前も俺と同じように鼓動が止まる。」


…ん?

ちょっと待って。

ということは、リツが死んでしまえば私も一緒に死ぬってこと!?


「もし、私の鼓動が先に止まった場合はどうなるの?」


「同じだ。俺の鼓動も止まる。」


当たり前だと言いそうな表情をしているけど、私には全く理解が出来ない話だ。


「ねえ、リツは500年以上も生きてきて一度も結婚しなかったの?」


「ああ。俺は一人が好きだった。そんな俺をお前が変えたんだ。」


「そうなんだ…。」


私がリツを変えた。

それがリツにとっていいことなら良かった。


「リツ、これからどうするの?」


「まずは第一の層に向かう。ダンジョンの入り口まではここから約半日の距離だ。歩いて行くぞ。」


半日の距離を歩くの…?

ため息しか出ない。

まあ仕方ないよね。


「今から行くんでしょ?」


「いや、もう夜も遅い。出発するのは明日の早朝だ。今日はもう寝よう。」


そう言われたけど…

異世界なんて初めてだし、まだこの環境が信じられない。


「眠れないんだけど…」


「それなら俺がお前の抱き枕になってやる」


──ボンッ


狐の姿になったリツは私に身を寄せる。

銀色の毛並みが柔らかくて温かくて、心地いい。


「温かいね…リツは。」


「そうか?俺はお前の体温の方が暖かいと思うが。」


狐には人間の体温が熱く感じるのだろうか。

分からないけど、リツは温かい。


「もふもふしてて気持ちいいね。」


「くすぐったいぞ。」


「ごめんね。あまりにも気持ち良くて、心地いいから。」


「お前が満足しているのならそれでいい。お前は俺のずっと昔からの家族で、今は俺の妻だからな。」


今考えると、私は狐の嫁入りをしたのね。

実感はないけど、悪くはないかも。

だけど、このまま元の世界に戻ったら、また狐に憑かれてるとか言われるのだろうか。


まあ、いいか。

私には関係ない。

この狐の良さを知らないなんて損してる。

リツだけが私の味方だ。


「そうだね。私の家族はもうリツだけだよ。」


目を細めたリツのおでこに一度口づけをした。

これは私に今出来る最大限の表現だと思う。

今はこれで許してね、リツ。


「おやすみ、リツ。」


「ああ。おやすみ、麗。」


不安でいっぱいだ。

これからここで何が起こるのか。

ダンジョンで待ち受けているのは何なのか。

だけど、リツとならなんとかなると信じてる。


──大丈夫…だよね?

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