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私たちは第二の層を抜け、休める場所を探した。


「麗、大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ。リツも大丈夫?」


「ああ、早く休める場所が見つかればいいのだが…」


第二の層を抜けてもう何時間歩いただろう。

辺りが暗くなり始めていた。


「麗、見つけたぞ。」


「やっと見つかった…」


これまた山で見つけた時と同じように木造の小さな小屋だった。屋根は少し崩れているけどなんとかなりそうだ。


──ボンッ


「やはりこの姿は楽だな。」


どうやらリツは狐の姿が楽みたいだ。

小屋の中へ入るとホコリは無かったが椅子も机も何もなかった。


「麗、また頭を撫でてくれ。」


地面に伏せるリツは私をじっと見つめている。


「いいよ。何回でも撫でてあげる。」


リツのもふもふとした銀色の毛並みに手を添えて頭を優しく撫でれば目を細めて気持ちよさそうにしているリツ。耳をピクリとさせて、尻尾を振っている。


「やはり麗の手は落ち着く。戦いが終われば毎回してくれ…」


「リツがそう言うなら。」


最近分かったことがある。

リツは意外と人懐っこいのかもしれない。


────────────────────


私たちは簡単に食事を済ませて一度外に出た。


「麗、少し寒いだろう。焚き火でもするか?」


「確かに寒いね…」


リツは薪を用意して狐火を使って火をつける。

パチパチと音が鳴り、それを聞いていると心が落ち着くような感じがした。


「麗、寒いだろう。俺が毛布になってやる。」


そう言って膝の上に乗ってくるリツ。


「重いよ、リツ…!ふふっ…!」


だけど、リツの毛並みが温かくて離せない。


「お前は手が冷たいな。ちゃんと温めておけ。」


「ありがとう、リツ。」


リツの温かさに眠くなる。


「眠いのか?」


「うん…眠くなってきた…」


「眠ってもいいぞ。」


「ありがとう…」


そんなときだった。



──ザッ…ザッ…ザザッ…



草むらから突然何かがこちらへ向かってくる足音が聞こえてくる。私はその近づいてくる音に眠気が吹き飛ぶ。リツは私の膝の上から急いでどき、人間の姿へと姿を変える。


「何か来る。」


リツのその言葉に私は身構えた。


──カサッ…


四方八方が草むらで囲まれた場所。

その草むらから人間が次々と現れてくる。

腰に短刀を下げているものや、弓を持っているもの。

口元は布で隠されていて、その風貌はどうみても冒険者ではない…


「もしかして…賊……?」


足が震えて動かない。

四方八方を囲まれている以上、逃げ場がない…


「よぉ。こんなとこに女と妖狐がいるじゃねえか。」


「なぁに、女。そんなに怖がらなくていい…ただ、荷物と金を頂くだけだ…それと女、お前もな。」


ニヤニヤと賊たちが笑っている。

その姿にゾワっとする。


「…愚かな人間どもだ。」


リツの目が鋭く光る。人間の姿に耳と尻尾を生やしているリツは相当怒っているのが分かった。


──ザッ…


リツは地面を蹴ると一瞬にして私たちに話しかけた男の首元に狐上の剣の刃先を突きつける。あまりの速さに賊たちは顔を強張らせた。


「人間。命が惜しければ今すぐにでも消え去れ。俺は疲れているが、お前らを倒すのにそれほど時間は要らん。俺の妻を貰うだと?お前たちには無理だ。あいつは俺だけのものだからな。」


…リツ。

こんな風に言ってくれたリツ。

私は震える足を必死に動かす。

恐怖はある。だけど、私はもう、ただ守られるだけと存在じゃダメだから。


「リツ、私も隣にいるから。」


「麗…離れるなよ。」


「うん。」


リツの手を強く握る。

闇の中、焚き火の炎が揺れる。

そして静かな戦いの始まりが告げられた。

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