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「そういえば、まだ説明していないことがあったな。この三匹の水龍のことを。」
確かにまだ聞いてなかった。
どうして妖狐であるリツが水龍を召喚できたのか。
「この三匹の水龍はまだ俺が神に使えているときに命令されて一度戦ったんだ。こいつらは相当荒れてる奴らで、人間にも危害を加えるような奴らだった。まあ、危害を加えるというより、ただビビらせるだけだけどな。」
「その三匹の水龍に勝ったから召喚出来たの…?」
「いや、俺は勝っていない。最初は戦っていた。だが、だんだんこいつらと戦い命を取るというのはあまりにも惜しいと思った。そこで話し合いに切り替えたんだ。水龍たちに話を聞いてみれば、こいつらはただ自分たちの居場所を汚され、奪われるのが嫌だったらしい。」
自分たちの居場所を守るために…
「俺は最初で最後に神に逆らった。元々神に告げられたのはこいつらを倒すことだった。だが、俺はこいつらを倒さず、生かし、俺たちは契約した。お互い何かあれば助けるとな。」
リツ…
神様に逆らうなんて良くないことなのは私もよく分かっている。
「神様にバレなかったの?」
「バレたさ、すぐに。俺の気が増したと言われてな。素直に話せば最初はそれこそ怒られたが、最後は褒められたよ。それでこそ神使いだとな。」
リツは微笑んでいた。
私には一つ、やらなければならないことが出来た。
「水龍さんたち。ごめんなさい…。」
「麗…?」
「人間があなたたちの居場所を汚し、奪おうとした。私が一人の人間として謝らせてください。本当にごめんなさい…。」
私には頭を下げることしか出来ない。
彼らの居場所を奪おうとした人間がいたこと。
それは彼らにとってどれほど恐怖だったのだろうか。
想像もつかない。
「人間よ。」
「え…」
「人間よ。」
頭を上げれば三匹の水龍がいて、私の目の前で一番大きな水龍が人間の言葉を話していた。
「人間よ。俺たちは人間は嫌いだが、そこの妖狐が気に入った人間なら嫌いではない。謝るな。」
表情を一つも変えない水龍たちだけど、優しく話してくれているのは分かった。
「ありがとう…水龍さん。」
「我の名は、レイヤ。左の長いツノを持っているのはツクモ。右の体が紫色の水龍はシンだ。」
水龍にも名前があったんだ…
「ところで、リツ。聞きたいんだけど…」
「なんだ?」
「モンスターまだ一体しか倒してないけど、他のモンスターはどこに…」
「ああ、それならツクモとシンが先に奥へ進み中ボスまで倒してくれた。ボスは二匹ではどうにも出来ないから一度止まってもらっていた。」
ツクモとシンが戦ってくれたから。
だからモンスターが一匹も出なかったんだね…
「ツクモ、シン。ありがとう。レイヤもここまで背中に乗せてくれてありがとう。」
「構わぬ。」
そんなときだった。
──ゴゴゴゴゴ…
「な、何この音!」
音と同時に地面が激しく揺れ、バランスを崩してしまう私をリツが支えてくれた。
「大丈夫か、麗。」
「うん、ありがとう。」
「来たぞ…この層のボスが…。」
リツが静かに呟いた。
それはこの層のボスとの戦いの始まりの合図だった。
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