1話:起きたらワンコになってるんだけど!?
「んんー・・・むにゃむにゃ・・・」
ぽかぽかとお日様が照らしてあったかくて気持ちいいよぉ。
新学期になって教室は変わってもクラスメイトに変わらないし、授業はややこしくて先生が喋るだけ。
代わり映えのしない日常。
お布団みたいな春の温もりに包まれて、退屈な授業中は眠くなっちゃうの。
だからついつい居眠りしちゃうのも仕方ないことだよ、うん。
静かになった先生の声とサワサワと木の葉が揺れる音とサラサラ流れる水の音が合わさって子守唄みたいに・・・
ん?水の音??ここ教室だよね???
慌てて頭を上げて周りを見渡してみる。
机や椅子の代わりに立ってる大きな木、教卓のあった位置には小川が流れてる。
当たり前にあるはずの床板が草と土に置き代わり、窓から差し込む光は木々の間から降り注ぐ木漏れ日で・・・
目が覚めたら教室じゃなくて森の中なんだけど。
え?なにこれ??ドッキリ???
みんなどこ行ったの?!ここどこーー!?
慌てて立ち上がろうとするけど寝ぼけているのか上手く立てない。地面から手が離れないよぉ!?
た、助けてーー!!
「わ、わふーー!!」
・・・あれ?
ちょっと待って?落ち着いて??よーく見てみよう???びぃーくぅーーーるっ!!
今のボクは四つん這いで両手は毛むくじゃらで指は短くなり爪も伸びている。全身は黒っぽい毛に覆われて服を着ていないし、振り向けばおしりの先からシッポが生えている。
そして声は、「わん!」
ボク、大神 市子ごくごく普通の女子高生!!
あだ名は『ワンコ』!!教室で居眠りしてたと思ったら森の中にいた!!!そして目が覚めたら犬になってましたぁ!!!あははははぁ!!!!
・・・ボク、わんこになってるー!!?