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第29話 霊薬の力

「アレイスターくん!! バーバラーちゃん!!」



 翌朝朝食の準備をしていると、クレア姉さんの部屋から慌てた様子のホフマンさんが出てきた。その表情は疲労困憊な上に、どこか険しい。

 なんだ、いやな予感がする。



「シスターは……?」

「病気は治ったよ。目も覚めた……でも……」



 言いにくそうにしているホフマンさんの様子にいても立ってもられずに、俺たちはシスターの部屋へと向かう。

 そこには意識こそあるが、辛そうに顔をしかめているクレア姉さんの顔があった。



「ああ、アレイスターにバーバラ……最期に会えてよかった……」

「お母さん!! そんなこと言わないで……」



 精一杯の強がりだろう。しゃべるのもつらいだろうに俺たちを見てほほ笑むクレア姉さんにバーバラが辛そうな声をあげる。

 なんでだ? 治療は失敗したのか? 俺の訴えるような視線にホフマンさんが悔しそうに顔をしかめる。



「病は治ったんだ。だけど、遅すぎだ……もう、彼女の生命力は限界だったんだよ……元々無理をして働いていた上に、これまでの闘病で……」

「そんな……」


 

 震える声でそういうホフマンさんの言っていたことには覚えがあった。クレア姉さんは俺達孤児院の子供たちを育てるために日中は子供の世話を、そして、夜は遅くまで内職していたのだ。

 やっとスキルも目覚めて恩返しができるって思ったのに……まてよ。スキルに、生命力……? もしかして……



「クレア姉さん!! これを飲んでくれ!!」

「え? アレイスターくん!! それはまさか!!」



 さすがはホフマンさんはわかったのか、俺はシスターにアイテムボックスから取り出した霊水の入った瓶を差し出し飲ませる。ゴクリゴクリと喉が弱々しくだが、動くのが見えた。


 頼む、効いてくれ!!


 俺の願いが通じたのか、霊水の効果がすごかったのか、徐々にクレア姉さんの顔色が良くなっていき……きょとんとした顔をした顔で立ち上がる。



「あれ? お母さん……?」

「何かしら? なんかとっても元気になってきちゃったわ……肩こりもなくなったし、今ならバーバラちゃんを抱っこできそう」

「え? ちょっと、お母さん。 きゃぁぁぁぁぁ!! なにがおきてるの?」



 いきなり抱っこをされたバーバラが驚きながら悲鳴をあげる。霊水の効果やばすぎない? 全部飲ませたからだろうか?

 心なしか……いや明らかにしわとかもなくなって肌もぴちぴちしてんだけど!! いや、気のせいじゃねえよ。まじで外見が10歳くらい若返ってるわ。霊水やばいだろ!!



「奇跡だ!! アレイスターくん、まさか、霊薬を見つけていたなんて……それにしても、すごい効果だな……これなら彼女も大丈夫だろう。それに美しい……」



 ホフマンさんが興奮しながら言った。その瞳はうっすらと熱を帯びている。ちょっとまて……もしかして、ホフマンさんってクレア姉さんのことが好きだったのか?



「ありがとう、アレイスターお兄様……お兄様は私たちの英雄だよ」



 色々と気になったことがあったが、クレア姉さんから解放されたバーバラの言葉でようやく、俺も一息つく。

 そして、元気なクレア姉さんの顔を見て喜びの声を上げる子供たちを見て、ああ、俺はみんなを救えたのだなと実感する。

 孤児院の英雄っていうのも悪くないな……なんて事を思うのだった。



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