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第10話 いざ武器屋へ

「ひえええー、すごいですね、アレイスターさん。もう、二層はこわくないんじゃないですか?」

「あはは、確かに素早かったですけど、なんとかなりました」



 冒険者ギルドに戻って、セイロンさんに魔狼の牙を渡すと驚きの声と共に迎えてくれる。依頼の倍の数を納品したんだ。無理はないかもしれない。

 まあ、これでも全部じゃないんだけどな。ブリュンヒルデと共に、特訓で魔狼をかりまくったおかげかまだまだアイテムボックスには入っているが隠しておいた方がよさそうだ。



「すごい成長ですね。普通の冒険者さんならば、ゴブリンよりもはるかに素早い魔狼の動きについてこれずに苦戦するのですが……これなら、次は三層にいっても問題はないとおもいます。また、地図の準備をしておきますね」

「ありがとうございます。でも、それって、本来は受付嬢の仕事じゃないですよね? 階層の地図は通常冒険者ギルドから買うんじゃ……」



 そう、一部の例外を除いて、本来は冒険者は下の階層に行けると判断したら、自分で冒険者ギルドから地図を買い、次の冒険にそなえるのだ。

 もちろん、最低限のことは担当の受付嬢から教えてもらえるが、ここまで丁寧に書かれた地図をもらうなんて聞いたこともなかった。



「うふふ、言ったじゃないですか、英雄になるあなたへの投資だって。それに……結果が出なくても一生懸命がんばっていた人に芽が出たんです。応援したくなるに決まっているじゃないですか? それとも……迷惑でしょうか?」

「そんなことないです!! 俺こそセイロンさんのおかげで助かってますよ!! これからもよろしくお願いします!!」

「よかったです。アレイスターさんが英雄になった時は凄腕受付嬢のセイロンの宣伝をよろしくお願いしますね。それと……そろそろお金もたまったと思うので、何か防具やアクセサリーを買った方がいいかもしれませんね。三層の魔物は強力ですからね。これまでのようにはいかないと思いますので」



 軽口をたたきながらも、アドバイスをしてくれるセイロンさんにお礼を言って冒険者ギルドを後にする。ちなみに今は疾風のローブの上には簡易マントを身に着けて隠している。召喚したこれがどれくらいレアなものなのかわからないからな。だからこそセイロンさんもショップを勧めてくれたのだ。


 これは一生頭が上がらないな……と思うが不思議と嫌な気持ちにはならない。むしろ嬉しさが勝っている。彼女には冒険者になってから、からかわれながらも、ずっとお世話になりっぱなしだ。もしも、姉がいたらこんな感じなのだろうかとすら思う。



『マスターはあの女性を信頼しているのですね』

「ああ、あの人がいなかったら俺は冒険者を続けられなかったかもしれないよ。恩人のようなものかな?」



 だから、彼女が困ることがあったら俺は何が何でも助けようとするだろう。そして、彼女のアドバイス通り、俺は新しい装備を見つけに防具屋へと向かうことにするのだった。



 そこは裏路地にあるちょっとぼろい建物である。外見こそこんな感じだが、腕はいいと昔フリーレンに教えてもらって見に行ったことがあるのだ。

 その当時は値段に悲鳴を上げたが、だいぶ懐があたたかくなったこともあり入ってみることにしたのだ。



「お邪魔します」

「……ん、好きに見てけ」



 店員らしきドワーフの男は俺にちらっと視線をおくるとすぐに興味なさそうに手元のアクセサリーらしきものの細工を始めてしまった。

 本当に大丈夫だろうか?



『マスター。ここにある武器や防具はなかなかのものですよ。そして、あの方がつくっているアクセサリーも強力な力をもっているようです』

「まじか……」



 俺は再度ドワーフの顔を見て驚きの声を上げる。そういわれると無骨だが優秀な職人にみえてくるからふしぎなものである。

 そして、一つの考えが思い浮かんだ。以前召喚したさびた剣は本当にゴミみたいなものだったけど、今の俺が召喚したアイテムはどれほどのランクのものなのだろうか? 



「すいません、鑑定をお願いしたいのですが……」

「別に構わんが……迷宮でドロップアイテムでもゲットのしたのかのう?」



 俺が話しかけるとドワーフの店員は意外にもしっかりと返事をしてくれる。ちなみにドロップ品はまれに魔物が落としたり、特殊な条件で魔物を倒すと手に入るアイテムのことである。



「まあ、そんな感じです。この二つなのですが……」

「なっ……これは……」



 俺がマントの下に身に着けていた『疾風のローブ』と胸元にしまっていた『魔狼の首飾り』をみせると、ドワーフが驚愕の声を上げて、じっくりと見つめ始めた。



「すごいぞ、魔狼がまれにしか落とさない首飾りに、こっちのローブは人には使えぬ特殊な魔法で編まれておる……これは八層の精霊の泉でドロップでもしたのか!?」

「いや、これは……ちょっとした特殊なルートで手に入れたんですよ」



 興奮するドワーフの言葉に咄嗟に誤魔化す。だって、八層といえば中層の……俺が遭難したところよりも深い未知の領域である。俺よりずっと強い上級冒険者がいくようなところだ。

 表層しかいっていないはずの俺がスキルで召喚したなんていったらあやしまれてしまいそうだったからだ。



「ふむ……わけありか……まさか、おぬしが作り出したのかのう?」



 先ほどまでとは違い、興味津々といった視線で見つめてくるドワーフ。『マスター……』とブリュンヒルデが声をかけてくれて、落ち着いてきた。



「すいません、俺も冒険者なので入手ルートにはつっこまないでいただけると嬉しいです」

「ああ、そうじゃったな。冒険者に細かいを事を聞くのはマナー違反じゃった。すまんすまん、すごい品じゃったから、つい興奮してしまってのう。流石はフリーレンの小娘の友人じゃな」

「俺のことを覚えていたのですか?」



 確かにフリーレンに姉がすすめていた店があると一緒にいったことはあるが、それは彼女と冒険者になる訓練をしていたころの話だ。

 俺が驚いているとドワーフは愉快そうに笑う。



「フリーレンは子供のころから姉についてきて顔なじみじゃからな。あの子が友人を連れてくるなんて初めてじゃったからのう。それにお前さんのことは今でもしょっちゅう聞いているからの。嫌でもおぼえるわい」

「え、フリーレンが……一体どんなことを……」

「ふふん、それは今度本人から聞くといいぞい。それで……お前さんは何が欲しくてここにきたんじゃ?」



 ドワーフの言葉でここに来た理由を思い出す。



「明日から三層に行ってみようと思うので新しい装備を買おうかなと思ってきたんです」

「ふむ……三層か……」



 俺の言葉にドワーフの店員は上から下まで見て、観察して唸り声をあげる。



「正直三層ならばその装備で十分じゃな。というかそのローブはもちろん、お前さんがつけてるアクセサリーも、かなり強力なものじゃ。中層でも問題なく使えるじゃろ。一応それより強力なものもあるが……金額もやばいぞい。そうじゃな……代わりと言ってはなんじゃが剣は儂が整備しておいてやろう。軽く打ち直せば四層でも通用するじゃろ」

「そうですか……」



 新しい装備は不要か……ちょっと残念に思いながらもドドスコ賠償剣を渡す。それにしても、俺が召喚したものは想像以上にすごいものだったようだ。LV15消費でこれってことは、もっと上をの装備を召喚したらどうなるのだろう? と胸が躍る。



「それで、剣を打ち直すのはいくらくらいでしょうか?」

「ああ、お代はいらんよ。面白いものをみせてもらったからのう。そのかわりといってはなんじゃが、また、新しいものを手に入れたら儂にみせてくれんか?」

「でも……それじゃ……」

「いいんじゃよ、それにお前さんは英雄になるんじゃろ? その時たっぷりと買ってくればいい」



 俺の言葉にドワーフのおっさんがにやりと笑う。どうやらフリーレンが余計なことをいっているようだ。だけど、彼女は本当に俺の語った夢を信じ続けてくれていたんだな……と、ちょっとはずかしくなり、それを誤魔化すように、俺はが作っていたアクセサリーをみつめる。

 とてもきれいなルビーの埋め込まれたネックレスである。



「ああ、これかのう。これは『守護者の瞳』というお守りじゃよ。宝石に秘められた魔力によって守備力が上がるんじゃ」

「へぇー、いいですね。これください」

「別に構わんが……今のお前さんは別のアクセサリーをみにつけているじゃろ?」

「はい、俺じゃなくて、いつも守ってくれる仲間にプレゼントをしようと思って……」

「ふむ、それはいい心がけじゃな……だが、結構高いぞい?」

「それなら大丈夫ですよ、俺も最近結構稼いでますからね」



 ドワーフの言葉に俺は得意げに答えた。ちなみにわりかし予算ぎりぎりで冷や汗を流したのはここだけの話である。


皆さんのおかげでランキング10位台にいけました。ありがとうございます。


このまま上がっていったらいいなぁ……


面白いなって思ったらブクマや評価をいただけると嬉しいです。


特に評価をいただけるとむっちゃ助かります。


夕方にもう一話更新します。よろしくです。

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