目覚め
新作を書いてみました。こちらはゆっくり更新していくつもりなので
エルマント王国の端 通称端村に住む、ライディースの休日は早い
「おーい、ライ 今日も遺跡か」
「おはよう、トンガさん 今日も遺跡だよ もうじき見つかりそうなんだ」
「親父さんみたいに無理はするなよ」
「分かっているよ」
ライディースの父親は村の近くの遺跡で落盤事故で死んだ。ライディースが幼い頃の話だ。
端村から歩いて10分ほどの場所にある遺跡に着いた、ライはヘルメットを被りライトの点検、軽く準備運動をしてから遺跡へ入っていく。
遺跡は数千年前の前文明の研究所であり、ライディースの父親は考古学者で研究テーマそれはMB(MachiningBeast)についてだ この星には人や他の生物の他に機械生命体MachiningBeast 通称MBが生きている。
大きさは小型から超大型まで存在し小型でも大人よりも大きい 村にも小型のMBがおり、トンガさんが操縦して田畑を耕している。機械だが意識や知恵というものがあり、操縦する側にも相性や適性を要求される
ライは遺跡の壁を叩きながら進む、叩いて歩いていると音が違う場所を見つけた。
「隠し部屋だな」
ライは懐から火薬をだし、手際よく火薬の量を調整し爆弾を作り 壁を爆破する準備を始める。
「導火線は・・・・大丈夫だな 爆破するときがいつも緊張するな 3.2.1」
スイッチを押し、壁が爆発する。火薬の量を調整しているため、大きな音は出ないが爆発直後の黒い煙が立ち込める。
「行くか」
ライは鞄からマスクとゴーグルを取り出して装着、煙を掻い潜り隠し部屋へ入る。
部屋の中には木の箱があり、あとは何もない殺風景な部屋だった。
ライは木の箱を開けると銀色の猫のような生き物が眠っていた。
「猫か?銀色って・・・・MB、でもこの大きさのMBなんて聞いたことがない」
ライが銀色の生物に対して考察をしている間に指に激痛が奔る 銀色の生物に指を噛まれていたのだ、指からは血が出ている
「ゴロ~ン」
「お前、何なんだよ」
銀色の生物は部屋を出て走って行く、ライもその後をすぐに追いかけた。なぜ追いかけたかはよくわからないが直感がした、何かが起きると
銀色の生物を追いかけていくと鍵が掛かっており、前に1度、爆弾で壊そうとしたが破壊することが出来なかった部屋のドアの前にいた
「その部屋、入れないぞ」
「ゴワ~ン」
銀色の生物の鳴き声でドアの鍵が開く音がした。
「マジかよ」
恐る恐る、ドアを開け部屋の中へ入ると何かの実験をしていた部屋だった、水槽には謎の物体が浮いており、とても気味が悪い 部屋の奥にはデバイスが置いてあった。
「何千年前のデバイスだよな、動くのか?」
「ゴロ~ン」
「聞いた俺が悪かった」
デバイスとはMB乗りには必須のアイテムで用途は多数あり身分証明書、MBを登録することで自分の持ち物だと証明できる証であり、仲間との連絡を取り合えるツールでもある
「これでお前を登録すればいいのか?」
「ゴヨ~ン」
銀色の生物にそっぽを向かれ、部屋を出てまた走り出した。ライも出遅れながら後を追いかけているととても大きな扉の前に着いた。
「この奥に何かあるのか?」
「ゴロ~ン」
どうこの扉を開ければいいのか、扉は爆弾で破壊できないくらい分厚い 指紋認識で開けることが出来るようだが俺の指紋では駄目だろう
「お前の前足を見せてくれないか」
「ゴロ~ン」
「素直だな」
前足を確認してから抱きかかえ、指紋認証に銀色の生物の前足を認識させると 扉が開いた
「鍵はお前だったのか 今日は運がいい日だな」
大きな扉の中へ入るとそこには白いライオンタイプのMBがいた、ライは前から左右、後ろから確認していく
「全高8m、全長27m、テイルブレードと背中のブースター、射撃装備なし 格闘主体の中型だな、動くのか」
「ゴロ~ン」
鳴き声のする方を見ると頭のハッチが開いている あの生物はさっさと来いと言っているようだ
前足からよじ登り、背中から頭のコックピットハッチへ向かう
コックピットへ座るとハッチが締まり、起動音と駆動音がする。
基本の操縦はMB全て統一されているが空を飛ぶタイプや海中を潜るタイプの操縦はまた別で、長距離狙撃には専用のコントローラーが必要だったりする
操縦席の画面には文字が書かれているが数千年前の機体のため書いている文字が読めない
「文字が読めないぞ」
銀色の生物はライからデバイスを奪い取りセットしたするとコックピットの後ろから注射針が出てライの首筋へ薬を投入 ライは気を失なった。
「ライ、私がいなくなったら自由にいきなさい」
それが母親の最後の言葉だった、昨年 流行り病で亡くなった 俺の容姿は母親似の銀髪紅眼で小さな頃はうさぎみたいだと言われた
ライを目を覚ました。今の現状を思い出す。
「ようやく起きたか」
「あれ、お前が喋ったのか?」
「お前とは失礼な、私はミア」
「俺はライディース、ライと呼んでくれ」
「ライ、喜べ この機体レオンハートに選ばれた」
「レオンハート、ライオン型MBの名前なんだな」
「この子はライという適性者にようやく巡り会えたのだ」
ライは操縦席のパネルを見ると文字が読めるようになっている パネルには機体のパラメータとパイロットのパラメータが表示されていた。
「ライ、レオンをどうしたい」
「どうしたいと言われてもな、母親の遺言が自由にいきろだったからな 世界を見て回りたい」
「なら、ここから東に100km先にある遺跡を目指す方向が良いかもしれないな」
「何があるんだ?」
「レオン専用の移動型MB」
移動型MBは中型、大型、超大型に分けられ 運び屋が使うのが中型 大型や超大型は軍や一部の傭兵集団が持っている。MBの収納や補給ができ、あればテントや宿の必要がない
「ミア、1度村に帰る 荷物の整理をしておきたい」
「レオンの慣らし運転にもなるでしょう」
コックピットのベルトを付け直し、操縦桿を握り、スロットをゆっくり上げていく レオンは1歩づつ歩き始めた
「グルルル」
「レオンが喜んでいるわ」
「レオンの言葉は分からないが俺もレオンに出会えて嬉しいよ これからよろしくな」
ライは操縦になれていき、レオンは走って遺跡から這い出た 遺跡が壊れてしまったことはこの時ライはまだ知らなかった。