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森との共存


「私も仲間に入れてもらっていいですか?」


 隊員の男の人が一人声をかけてきた。私の髪はこの人の色と比べると色素が薄い感じがする。プラチナゴールドっぽい。対して彼は見事な金髪だった。外見の美しさも相まって王子様感がすごい。もちろん外出なんて許されていなかった私が王族なんて見たことないからあくまで想像だけれど。


「結界を見させていただきました。素晴らしいですね。ここは王宮よりも厳重に守られている。」

もちろん冗談だろう。思わずくふふと笑ってしまった。


「周りの人達に恵まれていたんです。血のつながりのない人達なのに、無能力者の私が不自由ないようにたくさん考えて改装してくれました。神様からは魔力やスキルは与えられなかったけれど、十分な恩恵です。」

「やはりか…。」


 私がお姉さま方と話していた時、男性陣は結界の調査を行っていたようで、その出来の素晴らしさに目がギラギラしていて怖かった。そんな中で唯一彼は落ち着いていたのでまだ普通に話せる。フォーマルハウトと名乗ったイケメンは何かつぶやいた後に続けて言った。


「外壁の各所に白い石柱があるだろう?その土台に術に必要な媒体が埋まっているみたいだね。発動に必要なエネルギーは石柱が集めている。この森だからこそ可能になっているセキュリティーだ。」

「それって、魔物の発生を抑える役に立っているってことですか?」

「あぁ、すごいな。賢いんだね。」


 そう言ってイケメンに頭を撫でられた。

 魔力というのは万物に宿ると言われている。大地にも草木にも。この森は数十年前まで行われていた戦争の負の遺産が色濃く残る場所とされている。


 本来、人の体内に作られる魔力が瞬時に何かに影響を与えるほどの量を外に出すのは精霊や魔物と契約した時、対価として差し出す時ぐらいだが、例外があった。恐怖によって抑圧されていたストレスが死の衝撃で外へ魔力と共に解放されてしまった場合だ。未使用のエネルギーは魔素となり、そして一カ所に留まると別の形で消化される。

 

 生き物が取り込めば魔獣、または魔草へ。死体が取り込めばアンデットへ。そうして爆発的に増えた魔物によって、蟻塚と呼ばれる魔物たちの城が出来上がった。今はダンジョンと呼ばれているその建造物はここから約1km程離れた場所に存在している。冒険者と呼ばれる人たちはそこを仕事場とし、騎士団の人たちは増えすぎた魔物討伐や新人教育の場としても使用しているようだ。


 今回の彼らは後者とのこと。余談ではあるが、ここから森を出るまで500mはあったはず。戦闘職についている人の脚はすごい。

 話を戻そう。つまり、その未消化分のエネルギーを使って我が家の魔道具は機能しているという事だ。私は前世の空気清浄機を思い浮かべた。自然に優しいなんてすばらしい。あとイケメン、いつまで撫でているの?


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