お家を用意してあげましょう
次の日も鳥はバスケットの中にいた。昨夜も雪が降ったようだが、今までより軽いもので、昨日よりも雲が薄くなっているように見える。
「さて、君のお家を用意してあげる」
そう声をかけると、私はソリにシャベルと火おこしの道具を一通り入れて雪の道を滑り出した。
移動中、斜面で滑り落ちるのが楽しかったようで火の鳥はウキウキと身体を揺らして喜んでいた。重量が増えた分スピードがいつもより早くてハラハラしたけど、転倒することなく目的地に着いた。
木々が増えると雪が浅くなる。敷地内でも木が多いこの辺りにあって助かった。グランドテッラがレンガを焼くのに作った竈は簡単に掘り起こせそう。
「よし!」
気合をいれて竈の掃除をはじめる。上半身を突っ込んで中が空になっているかを確認。冬越えをここで行っていたエルブエルバがいたようで、8匹全員を出てもらって。雪を払った木の上に移動してもらった。
竈の上の雪も落とし竈の中で火を熾すと、鳥はバスケットから竈の上に移動してきた。
「待って待って!まだ食べないで!」
火を見て口をあけようとしたのを見て身振り手振りで止めると口を閉じてくれた。視線がすごい急かしてくるのでこっちも一生懸命火を大きくする。薪をくべ、周りの雪がジワジワ溶けていくのを見たエルブエルバは木からおりて地面に着地し、泥遊びを始めた。
「足元には来ないでね。踏んづけちゃうから」
一応声をかけて、顔に煤がつくのも構わず頑張った。
「はぁ、熱い…。お待たせ。いいよ」
荒い息をそのままに火の鳥に声をかけると鳥は驚く事に竈の中に入っていった。
「え?!あ、危ない!!!」
思わず手を突っ込んで鳥を引きずり出そうとすると、手が竈に入る前に鳥がヒョイっと顔を出してきた。
「だ、大丈夫なの?え?そういうもんなの?」
熱すぎて一歩下がり竈の中を覗くと、火の鳥の身体と中の炎は溶けるように合わさっていた。私に「大丈夫」が伝わったと判断したのか、鳥は頭も竈に戻しておそらく背中にうずめて睡眠の姿勢をとる。
「不思議……」
ともかく、居心地は悪くないようで安心した。頑張ったかいがあったというものだ。
「この敷地で火事はおこさないでね。その竈は好きに使っていいかね」
最後にそう声をかけて、私は次にみんなが来た時に話せる話題が増えたと喜んだ。
「そうだ、ここにいる間に絵をかかせてもらおう!」
挿絵がない図鑑を思い出して私は家に戻ってスケッチの準備を始めた。まず思い出しながら描いて、思い出せないところは午後にでも竈に行って写生させてもらうのだ。
そしてやることやって午後。私がソリを準備しているとなんと向こうから飛んできてバスケットに収まったではないか。
「あ、ちょうどよかった。ねえ、絵を描かせてほしいの」
火の鳥はこちらの言葉はやはり分からないのか、中々動かない私を見上げて「早よ行け」と視線を送ってくる。
「もしかしてソリ遊びしたいの?」
「……」
仕方ない。私は鳥が下敷きにしている画材道具をリュックに詰めなおし、火の鳥とソリ遊びに暫し興る事にした。
ひととおり楽しんだ鳥は満足したのか、寝ころんで息を整える私をしり目にソリの持ち手にとまって毛づくろいを始めた。
「あ、観察チャンス…」




