表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/69

『ロックロック』独裁の芽

「フルルフォーンはストレスに弱く、肉は美味、そして角には薬効がある為人間だけでなく野生の魔獣、獣にも狙われやすいんです!もし飼育が可能になれば薬の素材が安定して手に入る事になる。そうすればもっともっとたくさんの人がその薬で助けられるのです!私はテイマーです!魔獣だからと言って虐げることは決してしません。この結界の中に入れてください!ねえ!ちょ、待って、フォレストさん!!!」


 じりじりとこちらと距離をとり、そって物陰に隠れるイヴリース・フォレストに対し、敷地内に入れない俺らは常に劣勢だ。結局その日はそのままダンジョンに潜り久しぶりのロックロックフルメンバーでの戦闘に励んだ。

 その日から数日、俺たちは何度も彼女の屋敷に通った結果、早々に居留守をつかわれるようになった。これだけ広い屋敷をあの小さな体ですべて管理しているなら、そりゃ招かれざる客の対応なんてしていられないだろう。それも分からなくはないが、皆がそう割り切れるはずもない。特にテイマーのクレアにはじれったいという感情しかないようにすら見える。


「メリアキリサが人間の為に動いたのよ?!そんな事例、聞いたことない!特殊なスキルを持っているのかどうかだけでも知りたい。もしかして酷い大罪人で閉じ込められているのかも。あまりに危険人物過ぎて監禁しか手段が取れない訳アリの子供っていうのは考えられない?そして希少価値のある魔獣たちを囲っているの。そう考えたらここまで礼節を重んじる必要あるのかな?」


 もはや暴走の域に達しているクレアを宥め、俺とルーサー、そしてヒューバードはその日の夜、次の訪問を最後にしようと話し合って決めた。翌日、朝の食事の際にその事を伝えるとクレアは物凄い反発してきたが、奇しくもその様子に異常さを感じ取ったマージェリーとダリルも了承する流れとなった。あの屋敷と少女に興味を持っているのは魔導師2人とクレアだったので、他2人が了承してしまってはクレアも強くは言えないようだった。


「それじゃあ、私とダリルは出来るだけこの魔道具を調べたいから別行動するけど、何かあったら直ぐ呼んでちょうだい」

「俺は一度屋敷の全体を見て回りたい。もしそれでフォレスト嬢を見かけたら伝えるよ」


 そう言って到着早々、魔導師組とヒューバードは反対方向へ歩みを進めた。俺とルーサーはパーティーの2トップとしてやるべきことはやらねばならないので反応が返ってこない事を知りながら玄関のベルを鳴らした。クレアは暴走予防の為個人行動は禁止している。よって傍らにいるが機嫌はずっと悪いままだ。


 10分ほどたっても誰も顔を出さない事を確認してから俺たちはヒューバードの進んだほうへ歩みを進める。もう来れないと思うと余計にこの美しい屋敷を目に焼き付けておこういう気持ちになる。


「あ!!今の見た?!」

「なにが?」

「エルブエルバがいたわ!!」

「まさか。……お前本当に落ち着けよ。イヴリース・フォレストをいろんな意味で特別視したい気持ちは分かってる。けどあまりにも冷静さを欠き過ぎだ」

「違う!本当に見えたのよ!二足歩行のエルブエルバだった!」


 俺とルーサーは目を見合わせてため息をつく。流石に肉親でもないルーサーは困った顔だけしてため息は飲み込んだようだが、気持ちは同じだ。もはや視線を屋敷に固定して歩みを進めながら俺はクレアに会話だけ付き合ってやる。


「エルブエルバは森で生活しやすい形態を模倣するって言ってなかったか?」

「そうよ。なのにあの屋敷には人型のエルブエルバがいたの!生物の正しい形を破壊しているわ!ギルドに訴えてもいい案件よ!」

「お前さ、彼女が俺たちの恩人だって忘れてないか?自分のランクの為かなんか知らないけど。もう少し自分の欲と切り離してイヴリース・フォレストを見直してみろ」


 クレアはグッと押し黙ってそこから黙り込んでただ足だけを動かした。

 そうこうしているうちにヒューバードの姿が見え、そして傷ついたフルルフォーンを囲う彼女に対してまたもや俺たちは対応を間違えるのだった。


 イヴリース・フォレストは治療に特化したスキルや魔術が使えないという事ははたから見ても明白だった。大やけどを負ったフルルフォーンの治療をするために広い敷地を走り、落ち着かせるために嫌がる薬を即座に選択肢から除外する様子はその魔獣に対する敬意すら感じられるが、クレアにはそうは映らなかった。不満が爆発して最悪な言葉を投げかける。

「ねえ!あなたフルルフォーンを独占したいだけなんじゃないの?!」

「おい、やめろ…っ」

「じゃなかったら何で治せるルーサーを入れないよ!この独裁者!!!」


 我々の存在を完全に無視してアロエによる民間治療を施す彼女にクレアは止まらない。

 

「ねえ!聞いてるの?!何でそんなに私たちを嫌がるのよ!!」

「クレア!」

「うるさい!あんな風に囲われちゃ、テイムなんてできる訳ないじゃない!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ