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第一王子の親友の話(2)

飛ばしても問題ないです。


 俺がこいつの秘密を知ったのは反抗期真っただ中の13か14歳の時だった。王宮内の下世話なうわさの中に俺の父親が別にいるというものがたまたま耳にはいった。実際にはそんなことはなかったのだが、その当時は自分に関する悪い噂は全て本当のことのように感じていたのだ。


 子供の頃に見たフォーマルハウトという星が南の空にポツンと寂しげに光っていたことも相まって、余計に疑心暗鬼に陥っていた。その不安を取っ払ってくれたのがレグルスだった。


「兄弟の中で俺だけが父の子供ではない。寂しい星だから俺の名前はフォーマルハウトなんだ。」

「いや、孤独な者って意味の星は他にあったと思うぞ?大体、そんなスキャンダラスな事実があるならお前の生まれた後でつけられる子供の名前が星に因んだものにならないだろ。」


 王族の名前がその年のブームになるというのは珍しくない。とはいえ、全く同じ名前を付けるのは不敬に当たると誰かが気をつかった結果、星の名前や花の名前、宝石の名前など系統での流行が数年おきに起こるのだ。


 両親とも、そのブームを大いに喜んでいた。そこに罪悪感やうしろめたさは一切ない事を思い出して、安堵と共に恥ずかしさが湧き上がった。思春期丸出しな自分に対してだ。唯一救いだったのが、こいつが何でもない事のようにサラリと返した事だったが、耐えきれない羞恥心故に八つ当たりした。


「俺の秘密を知ったんだから、お前も何か話せ!」

「秘密じゃなくて誤解だろ…。えぇ~、じゃあ…」


 こんな無茶苦茶な要求に応えるのだ。適当な、秘密とも言えないような事を話すだろうと思っていた。けれど、思っていたものとは全然違って、少し緊張した顔で言った。


「俺さ、前世の記憶があるんだ。こことは違う世界の記憶。……信じる?」


 話を掘り下げれて聞いてみればこいつのチートや年齢以上に落ち着いているところも納得がいった。スキルとは異世界から来た過去の英雄が使用していた単語であり、その前はギフトと呼ばれていた。神からのギフト。


「俺は生まれ変わる前に好きだった女の子と同じ世界で生きられるように頼み込んでこの世界に生まれたんだ。葉月の分の…、2人分の加護を持っているから規格外なだけなんだよ」


 なんでここでお前の愛馬の名前が出てくるんだと一瞬思ったが、流れからしてそのハヅキというのはこいつの想い人だと察した。


「じゃあ、無能力者を探すのが再会の近道ってわけだな」

「…疑わないのか?」

「むしろしっくり来たぐらいだ。その人探し手伝ってやるよ。その代わり、お前将来俺の専属につけよ」

「あぁ、ありがとう」


 こうして、俺たちは無能力者がいたと知れば実際に確かめに行った。が、これがなかなか困難を極めた。何せ向こうは記憶があるのかも分からない。俺ほどではないがこいつもそこそこ名が知れているためうっかり惚れられたことも少なくない。そもそも相手が男だった場合どうするんだ?現在18歳。探し始めて4年は経った。時間がたてばたつほど不安は募る。そんな時、たまたま騎士団の仕事で行った魔物退治の帰りで出会った少女に、希望が見えた。

 イヴァリス。古代語で何の効能ももたないただの葉っぱを指す言葉だ。明らかにそれを文字ってつけられた名前を持つ美少女が、閉じ込められるようにそこにいた。



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