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手さぐり天然養蜂

 お昼で一通り食べてみたのだが、リンゴはもう少し追熟させよう。あと洋ナシっぽい物は、デコボコしてたし前世ではラフランスだってあまり我が家の食卓には出なかった為、断言できないがこれはこれでいいのだろうかという味だった。よくわからないがいい匂いなので追熟させるリンゴと同じ籠に入れておくことにした。残りは全て地下の食糧庫へ。


「腕が…。足も、疲れた。」

 一輪車ってたくさん運べるけど実は全然楽じゃないよね。今日はもう力仕事はしないぞと心に決めた。2時間ほど読書とお昼寝をしてから、メリアキリサのご機嫌伺いにハニーポットを持って向かった。


「わ、わぁ~。」

 ここもここで数日見ないとえらい事になっている。巣が大きくなっているのはまぁ予想通りだが、巣の下が蜂のフンや滴り落ちた蜜でドロドロになっている。

「あ、今日もいいかな?」

 近づいてきたメリアキリサに声をかけ、ハニーポットをいつもの場所に置いた。

 そして改めて汚れのへばりついた木へと視線を移す。

「これ、木にも良くないんじゃない?」

 何しろ木の根元までドロドロなのだ。バケツと柔らかめのブラシを持ってきて掃除を開始。これもまた中々の重労働だった。ベキッと層になった汚れが剥がれるたびに「ヒエッ!ゴメン木ぃ!」と慌てる事数回。何とか綺麗にし、こも巻というもので汚れ対策。また汚れたらお着換えしようね、とトントンしてからいっぱいになったハニーポットを受け取った。ついでに先日空いた料理酒(白ワイン)が入っていた酒樽を一つメリアキリサの巣の横に設置してみた。

「蜂蜜、巣から溢れちゃうならこっちにちょうだい?」

 一匹に声をかけるとちょっとびっくりする量の蜂が巣から飛んできてちょっとびっくり。樽の周りをブンブン飛んで、気が済んだものから巣へと返っていく。情報共有できるメリアキリサにも個体によって性格が違うらしい。彼らは実際に旅に出たいタイプ。巣から出てこないのはTV映像で満足できるタイプといったところだろうか。

 樽は流石に地面にじかに置くことは出来ないので、地下を往復して台座も持ってきて設置した。上部の蓋を開けてそこから蜂が出入りできるようにしたは良いが、屋根がないので埃や雨水が入るかもしれない。そこで、木の枝に防水の布を括り付け、反対側は地面に大きめの石で固定して簡易的なテントを作り様子見とすることに。後日改めて台座の下にテーブルを置いたりと対策を立てることにして、今日の屋外での作業は終了と決め、家に戻った。


 翌日、午前の作業にさらに庭の果実の収穫も追加された為今日も今日とてヘトヘトだった。ただ、いつもと違ったのはフルルフォーンの広場に綺麗な角が落ちていたのだ。ギョッとして持ち主を探すべく敷地内にいる個体を調べて回ってたら6つに仕切られている獣舎の一角に寝ている個体の横にもう一本角が落ちていた。寝ている牡鹿の頭に角がない事からこの子のものだろうと予測をつけ、そっと獣舎を後にした。もちろんその日も結晶拾いも兼ねた掃除をきちんとこなした。角も花と一緒で落ちる頃には結晶化するようで、とても美しい。確か希少な薬の材料になるんだったなと記憶を巡らせながら、活用方法が未定の鹿の角は暖炉の上の空きスペースに飾っておくことにした。


 午後は先日の酒樽改め蜜樽の続き。倉庫には元々屋敷に置いてあったが改装と模様替えで不要とされた家具がいくつか置いてあるので、そこから手ごろなテーブルを拝借。子供用の勉強机だろうか?貴族の大人が使うには装飾がほとんどないシンプルなそれを引きずらないように気を付けながら運び、昨日の樽を設置するために巣まで運んだ。ついでに片手で持てる大きさのボールも見つけたのでポケットに入れて持っていく。


「お、重い…。」

 不安定にならない様、地面を出来るだけ平行に整え、いざ樽を持ち上げようとしたら重すぎて持ち上がらなかった。

「朝から仕事し過ぎだよ~。」

 心なしか胸を張っているように見えるメリアキリサに苦笑して上の穴から樽の中を覗き込むとうっすらと黄金の蜜が波紋を作っているのが見えた。樽だけでもそれなりの重量なので仕方ないが、これは机の上にあげるのはなかなか大変そうだ。

 となれば、上げる距離を短くして負担を減らすほかない。農具置き場からシャベルを持ってきて机の足の跡がついてる場所を掘っていき、斜めにならないように調節しながら足を埋めてみた。

「お、いいんじゃない?」

 何度かの調整をして机の上に置いたボールが安定するまで頑張り、改めて土台と樽を設置する。

「完成―っ!はぁ、疲れた…。ね、いいんじゃない?ね?」

 メリアキリサに同意を求めると触覚をヒクヒクさせていた。きっと同意しているだろう。よしよし。


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