スライム便利はお約束
「次はコンポストへ行きます。」
「コンポスト?何か改善するものなんてあったっけ?」
「正確には魚介の生ごみですね。」
「あぁ…」
確かに、魚介類の生ごみは中々面倒だ。臭いも強烈故に虫がものすごい寄ってくる。秒で寄ってくる。今はまだ貝殻が出る料理はしていないが、確か食糧庫にはあったはずだ。
ちなみに先日の天ぷらの際出たエビの殻や魚の骨や皮はアラネペレに差しだしたら全部食べてくれた。が、流石に貝殻は食べないだろう。きっと硬すぎる。
肥料を作るため、野菜の皮などを入れるコンポストの横に同じくらいの大きさの箱がセットされていた。前からある方の箱は持ち上げれば蓋が開くのに対して、新しい箱は簡易的なロックがかかる仕組みのようだ。カナリアがつまみを捻って開けると中に水まんじゅうがいた。
「スライムです。雑食なので何でも食べます。箱は結界が張ってあるため食い破られることはありませんが、蓋の閉め忘れにはご注意ください。」
「スライム!?」
「人間に飼いならされた品種なので危険はありませんが、増えてきたら焼却して減らしてください。」
「焼却?!」
「……まあ、そのあたりの管理は男たちに任せても構いません。ボーリスでも出来ますから、安心してください。」
よっぽど情けない顔をしていたのか、カナリアは譲歩してくれた。が、そういう事じゃないんだ。危険はないとの事だったので身を乗り出して3匹いるうちの一匹をつついてみるとプルンとした弾力を持っていた。強めに押すと指が沈み込む。何だかビニール袋越しに水をさわる感覚に似ている。
「勝手に増えちゃうの?」
「食料が多いと増えます。下水のスライム駆除は仕事がない月はないそうですよ。」
「……。」
「そのスライムは我が家から増えた分を持って来ました。ご安心ください。」
「よかった!カナリアの家のなら安心だね!」
下水の話が出た時、ついスライムをつついた指を見てしまった。話には聞いたことがあった。下水に流れる固形物はスライムが食べてるって。駆除の仕事が滞ると下水につながる道路の穴からスライムが出てきて大騒ぎになるらしい。子供の頃キャロルが自宅の2階の窓から見たその様子を大喜びで話してくれた。安全地帯から見るなら面白そうだと子供心に思ったが、一方で17歳の私はてんやわんやだったらしい大人達に同情してしまった。感染症対策の為のスライムから何かが感染しては元も子もない。まあスライムに牙は無いので問題はないかもしれないが、衛生面的に避けたい事態である。
「増えたら気を付けるね。」
「最悪冬に放置しておけば凍って死滅します。1匹だけ室内に入れておくなどして対策してください。」
凍ったスライムは溶けると外皮だけが残ってぺちゃんこになるらしい。それはそれで安価ではあるが素材として売れるらしい。スライム、無駄がない。




