新しいやるべき事と報連相
泣きすぎてぼんやりする頭をクレメントに預けて優しく揺らされるのに身を任せていた。嗚咽が収まってきた頃に約束のカリンのはちみつ漬けをもってくるといい、膝からおろされた。冷たい空気に少し震える。
「代わりにアリエルをだっこしててください。」
「え?!」
「うん。」
「え?!」
促されるがまま私の抱き枕となったアリエルは居心地悪そうに、けれど大人しく私の膝に収まった。
「いっぱい泣いちゃった。」
アリエルから何か言おうとして口を閉じる気配がして、結局なにも言わずにおずおずと髪を撫でてくれた。
「思い出せるといいね。」
しばらくしてからポツンと言われた言葉にまた涙がせりあがってきそうだったけれど、何とかのみこんで小さく頷くにとどめた。
クレメントは3人分のカップをもってすぐに戻って来た。カリンのはちみつ漬けをお湯で割ったそれはとても優しい味がした。
そして私は飲み終わると同時に眠ってしまった。朝起きた時、寝室のベッドの上だったのでクレメントが運んでくれたんだろうとボーっとする頭で予想する。昨日泣き過ぎで少し痛い頭を押さえながら1階へ降りると既にクレメントもアリエルも起きていたので挨拶を済ませる。
「そういえば、クレメント来るの早かったね。」
「部下から火事の情報を得てから出来る限り急いだんですが…。それでもすぐに子爵家をすぐに出ることは出来ませんでした。心細い思いをさせましたね。」
「ううん。色々動き回ってたから不安を感じる暇はなかったよ。」
その所為で風邪をひいたのだが、クレメントは話の続きを促したので火事騒ぎの日の事を話して聞かせた。
まずアリエルを見つけた事。結界の件も話したら瞳を輝かせてアリエルを観察しだした。
「他の者には効いていたのにアリエルには反応しないとは…。改善の余地がありますね。あぁ、鑑定魔法を使っても?」
「う、うん。いいけど。ねぇ、それより僕庭にいる動物の方が気になるんだけれど。」
クレメントが自分の荷物から色々な道具を出している間も会話を続けた。
「角に花が咲いたシカの事?メリアキリサが保護を求めてきたからいれたの。」
「それも珍しかったけど、なんで鶏小屋にぬいぐるみ入れてるの?」
「あれ生きてるよ?貴重な糸を出す蜘蛛なんだって。」
そこで思い出した話をクレメントに降る。先日アラネペレが捕食していたネズミの話をするとクレメントは渋顔を作って席を立ち、戻って来た彼の手には魔物の図鑑があった。既に開かれたページを読みながら椅子にすわる。歩きながら本を読むなんてお行儀が悪いけれど黙認しておく。




