表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/69

山火事の収束とシカモドキ

 あとはもう寝るだけだったが浴室でもずっと鳴っていたアリエルのお腹の為にパンスープを作ってあげた。コーンスープにパンを浸したそれをアリエルはボロボロと泣きながら必死に食べ、完食すると電池が切れたように眠ってしまった。


 窓の外の赤色は先ほどより大きくなっているように見える。アリエルをおんぶでリビングのラグの上に運び、2階から毛布と自分のガウンを持ってくる。アリエルを毛布でくるんでから外へ出ると敷地の外は大混乱だった。結界に衝突した魔物は方向転換して走り出し、何頭か脳震盪をおこして転がっているものもいる。メリアキリサにそっくりな蜂が集団でこちらを窺ってホバリングしていたので中に入れようとするとガウンの紐を後ろから引っ張られて阻止された。


「仲間じゃないの?」

 全員で左右に飛んで否と伝えてくる。素晴らしい団結力だ。ガウンの前の結び目も一定間隔で左右に移動している。

 外の蜂をよく見ると首周りにモコモコがなく、おしりの針はメリアキリサよりも目立っていた。蜜蜂とスズメバチを連想させる違いだ。


 こちらが招き入れないと察したのか、スズメバチモドキは脳震盪をおこして倒れていた小型の魔物で肉団子を作り始めた。グロテスクなその作業を終えると各々持てる分を持ち何処かへ飛んで行ってしまった。


「怖っ」


 その後も火元から逃れるために走ってくる魔物は後を絶たなかった。その中の1頭にメリアキリサの目の色が変わった、…ように感じる。突然ガウンの紐をほどかれてそのまま数匹で外へ飛んで行ってしまったのだ。


 何事かと目を凝らすと近づいてくるのはガウンの紐を角に括られメリアキリサと並走してくるシカだった。

「入れろって事?」

 傍にいた数匹に問いかけると上下に飛んで是を示してくる。結界の手前で歩みを止めたシカから伸びるガウンの紐を引っ張って「入っておいで。」と声をかけるとゆっくりこちらへ歩み寄った。シカの角はよく見るとところどころに花が咲いていた。桜の木のように葉はなく、小さい椿の様な花だった。

「これが欲しかったのね…。」


 ご機嫌にシカの角に群れるメリアキリサをうっとうしそうに頭をふっているシカモドキを空っぽの馬小屋へ連れていき、水と果物、野菜を提供してあげる。よほど喉が渇いていたのか必死に水を飲むシカモドキの頭を撫でてからガウンの紐を回収した。


 そしてメリアキリサのシカモドキ捕縛大作戦が始まる。シカモドキを見つけるとガウンの紐を持って西へ東へ飛び回り、私は明け方近くまで広い敷地内を行ったり来たりするはめになったのだった。


 最終的に捕縛した数は12頭。途中雨が降って火が完全に消え、森の混乱が収まるまでこの捕縛劇は続いたのだった。

「つ、つかれた…。」

 けれど、頑張ったかいあってメリアキリサは大変ご機嫌だった。というのも、シカモドキの角に生える花はその個体によって違うようで、薔薇やレンゲ、または見たこともない花をつけていた。一様に言えることは葉っぱがない事とどれも小ぶりな花という事だろうか。大体500円玉くらいの大きさだ。


 馬小屋は6頭しか入れられないので馬小屋の隣にある空きスペースに放しておいた。こうして使ってみて気付いだことだが、この場所は馬の為の放牧スペースだったのかもしれない。納屋やコンポストなどの庭の景観を損ねるものが置いておるので勝手に空き地扱いしていた。そういえば申し訳程度の高さではあるが柵もある。


 先に馬小屋へ入れた6頭もそこへ離してやると先ほど野菜を食べていたはずなのに生えっぱなしのクローバーをモリモリ食べだした。水が欲しい子は馬小屋の水場へ入り、お腹がすいたらクローバーを食べる。

特に繋いでいないし、結界は入る際には許可がいるが出ていく際は本人の自由意志で出ていける。にもかかわらず、腹が満ちるとその場でリラックスしだしたので彼らもこの屋敷の隣人になるかもしれない。


「ふあ~っ。流石に、眠い…。」

 雨は小雨になってきたが、足元はドロドロだった。重たい身体を引きずって簡単な入浴を済ませると、そのまま泥のように眠りに落ちた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ