優しい夜と別れの朝
お風呂はクレメントとボーリスには好感触だったがキャロルには茹だると不評だった。二人で洗いっこして遊んでからのんびり浸かっていたが、キャロルは私の半分も湯船に浸かっていられなかった。それでも足だけお湯につけながら街での流行やメイド仲間の恋の話など、男の人がいては盛り上がれない話を聞かせてくれた。
お風呂から上がったらリビングでのんびり過ごした。今日来られなかった使用人たちからの言葉や、みんながどんな様子かを聞かせてもらった。1ヵ月やそこらじゃみんなそんなに変わらないよとキャロルは言ったけれど、日々の様子を聞くだけでも十分みんなと離れていたことを実感させられる。
「もう私、ここに来るための争奪戦本当に頑張ったんだから!」
「お屋敷では大っぴらに話せないからなぁ。それでもみんな来たがっていた事はあの目を見れば一目瞭然だったわい。」
「おじいちゃんとクレメントはいいよ!立場と年齢でゴリゴリ押し込んだんだもん!私は本当の争奪戦の勝者だよ!もちろん次も勝ち取ってくるけどね!」
「おー、頑張れーい。」
段々と落ちそうになる瞼を必死に持ち上げながらみんなの話を聞いていた。明日はみんな帰っちゃうんだから、もっとお話ししたい。
「イヴ、もう寝ますか?」
「んーん。まだ平気。」
「そういえばイヴ、何も芽を出していない鉢が一つあったな。あれはなんだい?」
「お庭に入る許可を出したらメリアキリサがお礼にくれたの。何かの種。」
「ほ~。お嬢には蜂の言葉が分かるのかい?」
「うん…。お話し出来るの。賢い…から、」
「なるほどなぁ~。何の芽が出るのか楽しみだなぁ。」
「ん…。ぇも、ずかんに、のってぁくて……@:*$・~-…」
気が付いたら朝になってた。隣にはキャロルが寝ていて、それがうれしくてグリグリくっついてたら起こしてしまったので一緒に朝ごはんの準備をする。身支度もキャロルが髪を結ってくれて、いつもよりオシャレにしてくれた。何時に帰るのか聞きたくても聞けなくて、みんなはそれを知ってか知らずか一切触れず、昨日の作業の続きに取り掛かったのだった。




