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絶望のシンクロニシティー  作者: 夜神 颯冶
アルヴァニア戦役
7/11

       7         

 

そして今魔王軍は、

人間共に川岸(かわぎし)に追い()められていた。



一般市民まで兵にしてかき集めた軍は、

4千近くになったが防具さえ付けてない、

竹槍(たけやり)軽装兵(けいそうへい)の軍だった。


これを軍と呼べるのならだが。


それに(くら)べ相手は完全武装の正規兵(せいきへい)だった。



無謀(むぼう)としか言えなかった。



始まりは良かった。



地響(じひび)きが荒涼(こうりょう)とした大地を()()らす。



敵の騎馬隊の進撃。



茫漠(ぼうばく)たる大地に砂煙(すなけむり)()う。



(とどろ)咆哮(ほうこう)


黒金(くろがね)黒衣(こくい)の騎兵団。


逃げ出す数多(あまた)民兵(みんぺい)



(すべ)てはシナリオどおり。



逃げるふりをして敵を罠に(さそ)い込み、

草場に隠した網を少し引き上げる。


それで先頭のいくらかを落馬させ、

残りも騎馬の(ひづめ)と同じ大きさに

穿(うが)った穴に足をとられ次々に落馬させた。



足をとられ次々に落馬(らくば)していく敵の先陣(せんじん)



身動き出来ず転がる敵を、

逃げていた竹槍隊が反転、串刺(くしざ)しにした。



一方的な攻勢(こうせい)だったが、

そこは戦力差10倍近く。


すぐに反転して逃げる。



歩兵が遅れて駆けつけ、

生き残った騎馬兵と合流し反撃を開始。



(ふたた)び逃げ出した市民兵と共に、

我が隊は川岸(かわぎし)に追い()められていた。



逃げやすさを優先する(ため)に、

防具さえ付けてない市民兵は、

生き残りこそ多いが戦力的には無力。


川に入り敗走する我が兵は、

浅瀬(あさせ)とは言え川に足をとられ、

徐々(じょじょ)にその距離を(ちぢ)められていた。



川を必死で逃げる民兵を追いかけ、

10倍近い軍が渡川(とか)を始めていた。


すでに敵は川を半場はんばまでえ、

こちらに追い付き始めている。



前もって対岸(たいがん)()せて追いた

ダークエルフの弓隊が、

牽制(けんせい)の矢を放っているものの、

数が少な()ぎて少し歩幅(ほはば)を遅らせる程度で、

対して役には立っていない。



敵が数人矢で(しず)むものの、

そこは数の多さに(まか)せ、

(ひる)む事なく強引(ごういん)突撃(とつげき)して来た。



我が軍は必死で逃げる野ウサギの(ごと)く、

バラバラに水上を()()ねるだけの、

烏合(うごう)(しゅう)()していた。



「いまだ!」



敵が勝利を確信し、今まさに、

虐殺(ぎゃくさつ)火蓋(ひぶた)()ろされようとしているさなか、

俺は合図(あいず)した。



合図の狼煙(のろし)が上がる。



合図と共に川の水かさが徐々(じょじょ)に増し始め、

川底が黒く(にご)り始めた。


そして数分後完全に沼のようににごった川が、

兵の足をとりにぶらせていた。



対岸に渡り終えた兵は徐々(じょじょ)集結(しゅうけつ)し、

目前(もくぜん)(せま)った敵の大軍を(にら)んでいた。


普通なら(けっ)して勝てない敵の大軍勢を前に、

俺は勝利を確信する。



「全軍突撃!」



その号令を合図あいずに逃げていた兵は反転、

一気呵成(いっきかせい)(とき)の声を上げ、

敵に向かって()け出した。



 

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