殴り合い
楽しんで戴けたら嬉しいです。
ドクンと胸が震えて身体か暖かくなって行く。
眼の前で京介が眼を見開いている。
「京介…………………」
京介はワタシを抱き締めて言った。
「未だに不安になるんだ
夢だったんじゃないかって」
ワタシは京介の背中に腕を回した。
「大丈夫、ワタシは月に愛されてるから」
「解るよ
月の光がキミを大切そうに包んでいた
ミューズが人間になる瞬間は凄く神秘的なんだ」
京介とワタシは確かな感触を楽しむ様に暫く抱き合っていた。
それから京介はワタシの手を取ってテーブルに誘導してくれた。
テーブルにはお料理が並んでいる。
「ご飯食べたら、出掛けよう!
ミューズを友達に紹介したいんだ!」
京介は少し興奮して言った。
ワタシは微笑んで椅子に座った。
京介のリクエストに応えて、少し派手なひらひらの胸元が開いた淡いグリーンを二色合わせたワンピースに、足首に深い緑のリボンが付いた、足先が出た靴と白い装飾の無いバッグを合わせた。
背中が出ていてスカートが膝上で肌の露出が多くて、少し恥ずかしい。
ワタシは京介とタクシーから降りて、電気の光に溢れた賑やかな街並みを歩いた。
一軒の建物の入口に入って階段を下りて行くと音楽が大きくなって行って、京介はワタシの手を握ってドアを開いた。
ドアが開いた瞬間、音楽が大音量で飛び出す。
ドアの向こう側は別世界で色とりどりの光とほの暗さが入り乱れた広い部屋に人がごった返していた。
ワタシは驚いて京介の腕にしがみついた。
京介は大丈夫と云う笑顔をワタシに向けると誰かを探す様に奥を眺めた。
人の間を縫う様にして奥に入って行った。
とても細長いテーブルの前の椅子に見たことのある銀髪の眼鏡を掛けた若者が座ってこちらを見ていた。
以前、京介のアトリエに来ていた眼鏡の若者だった。
「京介! 」
眼鏡を掛けた若者は京介に向かって手を上げた。
京介は彼に近付くとワタシを気遣いながら、眼鏡の若者に近付いて行った。
眼鏡の若者の傍に着くと、眼鏡の若者は椅子から降りて言った。
「その美人は誰? 」
京介は少し照れて言った。
「ミューズって言うんだ
オレの最愛の恋人」
最愛の恋人。
嬉しい。
茶髪の女が近付いて来た。
茶髪の女はワタシの眼の前に立って顔をじっと見て、京介の腕にしがみついているワタシの手を見詰めた。
そしてまたワタシの顔を睨み付けた。
「泥棒猫! 」
そう言ってワタシの頬を平手でひっぱたいて来た。
痛い!
変な挨拶だなと思ったけどワタシは真似た。
「泥棒猫! 」
そう言って茶髪の女の頬をひっぱたいた。
以外だったけど何故かスッキリした気分になった。
京介が慌てている。
「ミューズ! 」
ひっぱたかれた茶髪の女は頬を押さえてワタシを更にきつい表情で睨み付けた。
「何すんのよ! 」
今度はグウで頬を殴って来たので、ワタシはよろめいた。
眼の前を光が散った。
「止めないか! 」
京介が怒鳴っている。
「おいおい! 」
眼鏡の若者も慌てているようだ。
ワタシはやられたままでは失礼だろうと、お返しにグウを茶髪の女の鼻っ柱に思い切りぶつけた。
親指が痛かった。
ワタシは手を振った。
茶髪の女は鼻を押さえて二、三步後退りした。
指の隙間から血が滲み出している。
「このおっ!! 」
茶髪の女はワタシに掴みかかって来たのでワタシも茶髪の女の腕を掴んだ。
鼻血を垂らしながら凄い形相でワタシを睨んできた。
人形を舐めるなっ!
ワタシは足で茶髪の女の脚を蹴飛ばして怯んだ隙に押し倒して馬乗りになった。
京介が後ろからワタシのお腹に腕を回して茶髪の女から引き離した。
ワタシはそのまま引き摺られた。
ワタシに飛び掛かろうとする茶髪の女を眼鏡の若者が捕まえた。
ズルズルと引き摺られて外に出ると京介は大きな溜め息をついた。
「ミューズ……………………
キミがあんなに喧嘩っ早いとは思わなかったよ」
ワタシは身体を折って呟いた。
「女の挨拶ってハード」
一瞬の静寂を破って京介は声を上げて笑い出した。
「手、痛い」
ワタシは親指を動かした。
京介は心配そうにワタシの手を覗き込んだ。
「親指を中に入れて殴ったんだろ」
「うん」
「人を殴る時は、親指は出さないと痛めるんだ
帰ろう
早く冷やさなくちゃ」
京介はワタシの顔を見ると言った。
「あーあ、口の端が切れちゃってるし」
「うん、痛い」
「ミューズはやんちゃな人だなあ」
京介は楽しそうにに笑って、しみじみワタシを見詰めた。
読んで下さり有り難うございます❗
この間、YouTubeでザアザアのライブを覗いたらヴォーカルの一揆くんの狂気的なパフォーマンスに魅せられ、ザアザアのライブDVD買う事にしました。
楽しみです。
今レンタルで、今頃と思われるでしょうが「BREACH」と「転スラ」観てます。
めちゃくちゃ面白いですね❗
この間、レンタル屋さんで「ロリータ」の映画のDVD、中古で売ってたので買いました。
小説は読んだ事ありましたが映画はまだ観たこと無くて、観るの楽しみにしてます。
一時期ゴスロリとか流行ってましたが、あの出で立ちがロリータと称されるのが、どうも理解できなかったです。
友達が現役のロリータちゃんやってて、彼女と遊び歩くのはとても楽しかったですが。
今では楽しい思い出です。