帰って
楽しんで戴けたら嬉しいです。
京介が帰って来なくなった。
昼も夜もワタシは待ったけど、京介は帰って来ない。
一人ぼっちで淋しい。
でも淋しいのはまだまし。
京介に逢えない方が辛い。
とても、辛い。
月明かりが強くなる頃、京介は帰って来た。
小さな鞄にあちこちから物を取っては入れてる。
京介、こっち見て。
ワタシはここに居るよ。
何か話して。
でも、京介は一度もワタシを見ずに鞄を持って行ってしまった。
ワタシ、京介にいけない事したのかな。
京介は怒ってるのかな。
ワタシが嫌いになっちゃったのかな。
そうなら哀しい。
とても哀しい。
ワタシはこんなに京介が大好きなのに。
月明かりがまた一番強くなった夜、京介はあの茶髪の女と帰って来た。
京介が怒っている。
「帰れよ
オレの事は放って置いてくれ」
「またあの女の処に帰るの?
ダメだよ、あの女は京介を駄目にしてる!
その証拠に京介は絵を描かなくなった! 」
茶髪の女は、避けようとする京介の周りに纏わりついた。
「彼女は関係無い
キミにも関係無いだろ」
「関係あるよ!
私、京介が好きだから!
ずっと好きなんだから! 」
京介の動きが止まった。
二人は暫く見詰め合った。
京介が言った。
「その気持ちは嬉しいけど、ごめん
その気持ちには答えられないよ」
「あの女がそんなにいいの?
私の方がずっと京介の事好きだよ!
私の方がずっと京介を理解してる!
きっと倖せにできる! 」
京介は哀しい顔をして静かに言った。
「彼女とはそんなんじゃ無い…………………………」
「じゃあ、何なの? 」
「とにかく今日は帰ってくれ」
「いやだ! 」
茶髪の女は京介の首に腕を回して抱き付いた。
京介は勢いに押されて、そのまま床にしりもちをついて座り込んだ。
茶髪の女は京介の胸に顔を埋めて言った。
「好きなんだもん
好きなんだもん
好き……………………………」
「ごめん
オレ、他に好きな人居るんだ」
茶髪の女は顔を上げた。
そして涙を溢した。
ワタシの眼からも涙が零れた。
「諦めようって思っても、どうしてもできなくて避けてたけど、どうしても辛くて
だから……………………………………」
「誰?
誰なの? 」
「キミの知らない人だよ」
茶髪の女は立ち上がると顔を左右に振って部屋を飛び出して行った。
京介は暫く床に座り込んだままだった。
項垂れて可哀想。
読んで戴き有り難うございます❗
作品書くのは楽しい作業なのですが、余裕無くなるので、困ります。
映画とか見れなくなるんですよ。
頭の中作品でいっぱいになって。
書き終わると凄い解放感あります。
インフルエンザとか皆様気を付けて下さいね。