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チート+ポンコツ=勘違い系

作者: 夢野ベル子

 チート+ポンコツ=勘違い系


 この数式を編み出しただけでも、このエッセイの役割は9割方終わった。


 はぁ……もう惚れ惚れするほど完璧な数式だわ。(幼女作家イキル)


 しかし、わけがわからぬという方がおられるかもしれないので、いまからご説明さしあげる。


 最近、なろう発の小説がアニメ化されて、よく『イキッている』とか『マウントとってる』とか言われているように思う。


 基本的にはチート付き主人公が主人公最強系でオレTUEEEEするのがなろう小説であるから、そのように捉えられてもしかたないかもしれない。


 チートというのは、いまさら説明するのもなんだが、他者を圧倒できるほどの隔絶した力のことを指す。もともとはゲーム用語のズルという意味だが、まあそんなのはどうでもいいか。


 つまりチートとは他人より優れた力である。


 したがって、チート持ちの主人公は他者を圧倒できる。

 蹂躙できる。

 好き勝手できる。


 その点を読者的視点から見てみると、『イキっている』というふうに判断されてしまうことだろう。


 小説というのは、主人公への感情移入という感覚ももちろんあるから、主人公がダークサイドであっても、すなわち『イキッている』状態であっても、もちろん問題はない。


 それどころかその点が読者に要求される面も確かにあったといえる。


 しかし、一般的な倫理感からいっても、そのような小説ばかりが氾濫するようになると、反動的に、一歩はなれた分析もまたでてくるところだと思う。


 さてそこで勘違い系である。


 古くはエンジェル伝説という、超コワモテの高校生が最強の不良だと勘違いされてしまう漫画があり、あるいは激弱な不良が最強だと勘違いされるカメレオンという漫画があり、そのあたりの作風をウェブ小説的に取り入れた作品が始まりであろうと思われる。


 勘違い系とは、内心と外面の乖離をコミカルに描いた作品である。

 したがって、勘違い系とはコメディに分類される。


 さて、この勘違い系とは何かというと、冒頭に戻るわけだ。


 チート+ポンコツ=勘違い系


 である。


 勘違い系の主人公はご都合主義という名の力を得ているため、ある種のチート能力が備わっていると考えてよい。


 主人公に不利益な事柄は最終的には、このご都合主義というチートによって打倒されうる。そして、内心はどうであれ、外面的には高い評価を得ていくのである。


 主人公の内心はある程度の幅がありうるだろうが、基本的には外面的な事実関係を打倒しうるほどの力はない場合が多く、打倒しうるとしても、その認識が主人公にはない。


 したがって、勘違い系の主人公においては原理的に『イキる』ということがありえない。


 作中のキャラクターはさすがなろう主人公様と称揚するが、読者としては内心において冷や汗をかいている主人公の内心を見ることになるのである。


 あるいはまったく事態を理解していないということもありうるだろうが、


 結局のところ、それは『ポンコツ』という一言に集約されうる。


 したがって、勘違い系の主人公はご都合主義的な称揚されうるエピソードと内心におけるポンコツ具合によって、イキるという不快な現象を取り除いているといえる。


 勘違い系は、『正面から称揚されまくるのはちょっとどうか』という読者の罪悪感を取り除いているのである。


 つまりチートの壮快さを純化しているのだ!


 有名なところで言えば、初期のオーバーロードはモロにその手法を使っており、最近ではイキリ骨太郎とか言われているが勘違い要素が薄まってしまったせいだろうと思われる。初期は萌える骨だったのだ……。いやマジで。


 つまりなにが言いたいかというと、勘違い系っていいよねって話。

いつかは書いてみたい勘違い系。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いノリでエンタメ性と考察が良いバランスで出来てると思います [一言] 仰る通り、基本的に勘違い系って嫌みが出ないから非常に安定して書きやすいんですよね 無駄に全部表現してると大体間違いが…
[良い点] わかります。それはもうわかります。 あれですよね、TSして寡黙系イケメン女子になって周りから賞賛されてるけど内心では焦っている感じのアレですよね。 俺は女の事イチャイチャしたいだけなのに、…
[一言] 勘違いも行き過ぎると不快な地獄のミサワ化する罠が…… 嫌味な謙遜や皮肉に捉えられないようにする工夫が大変ですよね。 シュールギャグは外すと主人公と世界の株を一気に落とすし、読者の冷笑を浴びる…
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