22 人と神のパーティ
道半ばですが、完結します。
読んでくださてありがとうございます。
ムツリとした顔をしている男の前で、女が品を作る。
盗神と眷属だ。
「盗神様ぁ、ここはひとつ、みんなでパーティを立ち上げましょうよ」
「……」
「高貴神様は許可をくれました。あと盗神様の一声で……」
眷属は意味ありげな溜めを作って強請って来る。
意識的にやってるのなら、強請のプロになれそうだ。
特に反対する理由もないので許可をする。
「好きにしたらいいだろ」
「やったぁ!」
眷属は年甲斐もなく大はしゃぎする。
ジャンプして、天井に頭をぶつけるほどだ。
何が奴をここまで活発にさせているのだろうか。
眷属が一通り、暴れまわるとさすがに疲れたのか、床に座った。
「皆さん、パーティの名前はどうします?」
人心地つけると眷属は切り出した。
「アリスちゃんファンクラブ」
「翼竜愚連隊」
「テオス教第13中隊」
「ミデン親衛隊」
「なんでもいい」
俺が最後にそういうと、空気を読めとばかりに高貴神に睨まれた。
今回奴には頭が上がらんので言い直す。
「アルケー盗賊団」
うん、うんといった感じで眷属が頷いている。
「皆さんの中から決めればいいと思いますが、一応私も出しておきましょう」
眷属は殊勝なことを言うと、
「青の導き2」
と宣った。
引きずりすぎだろこいつ。
克服したと思ったら未練たらたらじゃないか。
全員意見を出したが、ましな案が一つも上がってない。
「~隊系列が多いですね。できるだけかぶらないようにお願いします」
注意を受けた3人は、一人は憮然とし、一人は真顔、一人は目を見開いた。
三者三葉文句があるらしい。
「ドラゴンロード」
「テオス様を信仰する会」
「ミデン育成計画」
また出したのにも関わらず、竜騎士以外は前のよりひどくなっている。
「これで出そろいましたね。決戦投票したいと思います。自分がいいと思う案に手を挙げてくださいね」
「アリスちゃんファンクラブ」
高貴神一人。
「ええ、みんなここで手を挙げんの……」
高貴神が地味にショックを受けたような顔をする。
さすがに、どいつもそんな名前で呼ばれるのは嫌だろ。
アリスちゃんファンクラブのクレフティスだ!ていわれてもやばい奴としか思えない。
「ドラゴンロード」
高貴神以外の5人全員が手を挙げた。
一番ましなのがこれだから、順当だろう。
「……決まりましたね。このパーティの名前はドラゴンロードです。なんかドラゴン専属パーティみたいですね。この面子ならいけないこともないですけど」
「あくまで、目的は、竜神の保護と、現人神からスキルを取り戻すことだから竜専門は勘弁してくれ」
「竜専門でもよかろう。父上がおるところには、必ず、竜がいる」
竜神のところには竜が必ずいるか……。
確かに、前訪れたときにも竜がいた。
「ああ、なる。竜専門パーティで名前を売れば、竜神の場所もおのずとわかるて感じね」
ということで、我ら、ドラゴンロードは竜専門のパーティとなった。
「恐れ多いですが、神、よろしいでしょうか」
「ああ、いいよ」
ピラーがかしこまったように、言い、高貴神が気のない返事をする。
「このピラーの故郷。聖都ヒュムロスに、竜が大量発生して悩まされてございます。まず、ヒュムロスに赴くのはどうでしょうか」
ピラーは膝をついて、高貴神に進言した。
「そうだね。ちょうどいいし、ヒュムロスに行こうか」
「ありがたき幸せ。ただ、アルケーからはかなり距離があるでしょうかよろしいでしょうか?」
「竜騎士いるからいいでしょ。ねえ、大丈夫だよねえ?」
「問題ない。おそらく半日あればたどり着ける」
本当にバカみたいな性能だ。
普通は一年は踏破するのにかかる距離を半日だ。
飛んでる途中に風でぶっ飛ばされるのではないだろうか。
「じゃあ、行くところは決定したね。先輩」
高貴神が何か言えというように、こちらを見つめる。
さすがに察しの悪い盗神も察した。
「ああ、行くか。聖都ヒュムロスに」
人と神の一行は聖都ヒュムロスに旅立つことになった。




