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へんたいでいこう  作者: まあ
第1章 バラ色の出会い?
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第7話

視点が戻ります。

 なんで、あんなものを拾ったんだろうな。持ち主、見つかると良いけど……いや、見つからない方が良いのか?


 拾った手帳は一先ずはガクの住処に封印して帰路についた。

 カギは職員室にあるマスターキー以外にはガクがもっているだけのため、あの場所に手帳が保管されている事を知っていて侵入する気にならなければ封印が解かれる事はないはずだ。

 ただ、たまにどうしても知りたい情報があると侵入を試みる猛者がいるらしいけど……その後、どうなったかは誰もが口をつぐんでしまう。


 ……幼なじみとは言え、たまに友達でいて不安になるよな。

 

 実際、頼りになる事は知っていると言うか身に染みているから縁を切ろうとは思わないんだけどな。

 

「朝からなんでにやけているんだ?」

「何でもない」


 タイミングが良かったのか悪かったのか、教室の手前でガクに声をかけられる。

 ガクの事を考えていたなど、あの手帳の持ち主の耳に入ると喜びそうなため、絶対に言えないのでとりあえず誤魔化した。

 その事については特に追及される事もないのは幼なじみと言う関係からくるものだろう。


「ガク、これ、どうするんだ?」

「ん? ご丁寧に作ってきたか? それも面倒そうなものを」

「……お前が作って来いって言ったんだろ」


 教室に入り、同級生達と朝の挨拶を交わした後、昨日の帰りにガクから適当にお菓子を作ってきてくれと言うわけのわからない頼み事をされた。

 料理もお菓子作りもどちらかと言えば得意な部類のため、了承してはみたけど何に使うかは聞いていない。

 クッキーくらいでも良いかな? と思いながらもマカロンを作ってしまうのは自分でもどうかと思うけど、見せた瞬間に怪訝そうな表情をするのはどうなんだと思う。


「作って来いとは言ったけど、正直、これは引くだろ」

「はいはい。俺が悪かったよ。それでお菓子なんか作らせてどうするつもりなんだ!? ……なにふぁしたいんふぁ?」


 マカロンを1つ手に取ったガクはどこか呆れたように言う。

 お菓子を作れと言われたから作ってきたのにその態度はどうなんだと思いながら何の目的があったのかと聞こうとした時、ガクの持っていたマカロンが口の中に放り込まれた。

 もちろん、作っていた時に味見もしていたため、問題なく出来上がっている。自分で言うのもなんだけど普通に美味い。

 ただ、ガクが何をしたいのかまったくわからない。


「……ふむ」

「お前、何がしたいんだ?」

「いや、何でもない。少し確認したい事があっただけだ」


 目の前のガクは俺にマカロンを食べさせた後、何かあったのか小さく頷いている。

 何がしたいのか全く想像が付かないのだけど、ガクにはガクで目的があったようで必要な情報は得られたようだ。


 ……せめて、何がしたいか説明して欲しいんだけどな。


「円、学、何、朝からいちゃついているんだ? あれか? 幼なじみと言いながら人に言えない関係なのか?」

「あ?」

「何だよ。冗談だろ。そんなに怒んなよ」


 ガクの行動が何かにつながっていると言う事はなんとなくわかるため、これ以上聞く必要もないか。

 そう思った時、俺とガクがホモおな関係なのでないかとちゃちゃを入れる声が聞こえる。

 昨日、あの手帳の中に俺とガクを題材にした物があると聞いてしまったためか、その言葉に過敏に反応してしまった。

 声がした方を見ると楽しそうに笑っている宇木と余計な事を言うなよと言いたいのかハルがため息を吐いている姿が目に移った。


 ……あいつはどうして無神経にカチンと言う事を言うんだろうな。


「宇木、ハル。エンがマカロンを焼いてきたんだ。食わないか?」

「マジ? 食う食う」

「いや、俺は良い。宇木に食わせてやってくれ」


 怒りが込み上げてくるのを感じているとすでにガクが動き始めている。

 ガクは笑って2人を呼ぶと宇木は喜んで近づいてくるけどハルは何か察したようで背後から宇木を羽交い絞めにする。


「ハ、ハル、いきなり何するんだ?」

「宇木、からしとわさび、どっちが良い?」

「は? ちょ、ちょっと待て。学、なんでからしとわさびのチューブがあるんだ!? 円、だ、誰か助けてくれ!?」


 自分が羽交い絞めにされた事に声をあげる宇木にガクは楽しそうにマカロンを分解するとたっぷりとわさびとからしを充填していく。

 その様子にこれから自分に何が起きるか察したようで助けを呼ぶが、誰も二次被害になど遭いたいわけはなく、宇木から目をそらす。

 

「ほら、口を空けろ」

「ごふっ!?」


 このままでは不味いと感じた宇木は口を閉ざそうと抵抗するのだが相手はドSのガクである。

 彼は宇木の鼻をつまむと酸素が足りなくなった宇木は口を開いてしまう。

 そのタイミングを待っていましたと言いたいのかガクは口元を緩ませながら改造マカロンを宇木の口に放り込んだ。

 口の中に広がる刺激に宇木は膝から崩れ落ちて行く。


「ざまあ」


 ……まったく、食べ物で遊ぶなよな。


「円、本音と建前が逆だ」


 宇木の様子を見て俺の口から出た言葉にハルは大きく肩を落とすのだけど宇木を裏切ったハルには言われたくないと思うんだ。


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