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へんたいでいこう  作者: まあ
第1章 バラ色の出会い?
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第4話

「どうするって?」

「どうにかしたいから、わざわざこんな危険物をここに持ち込んだんだろ? そうじゃないとこんな危険物は即、廃却だろ」


 ガクに見つかると面倒な事にはなるかも知れないとは思った事は事実だけど、それ以上にガクに相談すれば手帳の持ち主が見つかる可能性があると思ったからかもしれない。

 確かにあいつの言う通り。多少、罪悪感は残るかも知れないがこんな危険な物は捨ててしまっても問題はなかったはずだ。自分や友人達のホモおな小説なんだ。完全な被害者の俺はこの手帳を捨てる権利があると思う。


「……捨てるのはちょっと不味いかな? と思ってさ」

「確かに捨てたのがバレたら、更なる被害が増えそうだ。こんな物だ。持ち主に捨てるところでも見られた時には復讐の意味も込めて筆が進むだろうからな」


 持ち主を探して返してやりたいと言う気持ちが多少はある。ただ、あまり関わりたくないと言う気持ちもある。あると思っていたけど、どうやら危険察知能力が発揮されていたようだ。

 視線を手帳へと向ける。ガクの話を聞いたせいか手帳からは禍々しい黒い気配が溢れ出している気がする。

 これを燃やしてしまうと煙に乗って周囲に感染していく気がして捨てられなかったのかも知れない。


「……持ち主に返したいよな?」

「二度と俺達を題材にしない事も約束させないといけないだろうからな」

「それ、重要」


 禍々しいものではあるけど、燃やすよりも持ち主に返した方が被害は小さいのではないかと言う気がする。

 自分の考えが正しいと確認したくなり、ガクへと視線を向けた。脳内でホモおな恋愛小説を美少女同士の夢溢れる小説に変換できるとしても多少の嫌悪感はあるようだ。


「協力してくれるか?」

「協力するも何も最初からそれが目的だったんだろ。それなら最初から出せばいいものをおかしな事をするから被害が拡大するんだ」

「……反省している」


 顔も広いガクの事だ。危険を最小限に抑えて持ち主への手がかりも見つけられるかも知れない。

 確認するように聞くとガクは小さく頷いた後に冷たい視線を向けてくる。

 その言葉に先ほどの女生徒におかしな勘違いをさせた事が思い出される。ちっぱいについては男だからある程度は仕方ない。むしろ、おっぱいに興味がない男なんて男じゃない。だけど……ごちそうさまはないよな?


 ……あれ? ごちそうさまはおかしいよな?


 女生徒がここから逃げ出していた時の言葉に何かが引っかかった。あそこでごちそうさまと出てくるあたり、彼女も容疑者の1人なのではないか?

 そんな疑問が頭に浮かぶ。これで解決の可能性があるんじゃないか?


「……なあ、さっきの女生徒が持ち主って事はないか?」

「ないな」


 瞬時にガクに否定されてしまう。ここまではっきり言うのだからきっと違うのだろう。

 ただ、そこまではっきりと言えるのはなぜだろうか? ガクにはこの手帳の持ち主に心当たりがあるのだろうか?


「……なあ。ガク、お前、この手帳の持ち主に心当たりがあるのか?」

「心当たりはないけどな。これにヒントはあったぞ」

「そんな邪悪なものを俺に見せるな!?」


 ガクは手帳を手に取るとパラパラとページをめくって行き、目的のページを見つけたようで手を止める。

 そのページには宇木とハルが半裸で抱き合っている絵が描かれており、それもかなりの出来なのだ。

 この2人に挿絵があると言う事は俺とガクのところにも同じような挿絵がある事は想像が付いてしまい、そこからくる嫌悪感に俺は手帳と取り上げると床にたたきつけてしまった。


「……持ち主に返そうとしているんだからおかしなことは止めろ」

「お前は何がしたいんだ!!」

「ヒントが描かれていると言っているだろ。ここをよく見ろ」


 手帳を拾い上げるガクに怒りをぶつけようとするのだけど反応は薄いだけではなく、もう1度、友人2人の半裸の絵を見せつけられた。

 見ろと言われても正直、こんな物を何度も見たくはない。ただ、そこに何かしらのヒントがあるとすれば見ないといけない。


「……気持ち悪い」

「言いたい事もわからなくはないけどな。重要なのはここだ」

「ここ? ……宇木の絵には首輪が付けられているけど、これがどうかしたか?」


 ガクが指差したのは宇木の絵であり、絵の中の彼には首輪が付けられている。ただ、ガクの言いたい事がまったくわからないのだ。

 軽音部の衣装で前に首輪をつけていた事もあったし、別におかしな事があるようには思えない。しかし、ガクにはその首輪が重要な事であると認識されているようだ。


「お前は気が付いていないのかも知れないけどな。宇木はMだ。首輪を描いていると言う事はこの持ち主は宇木がドMだと知っている人間。もしくはそれを魂で察知する事が出来るドS(同業者)だ」

「……お前は突然、何を言い出すんだ」


 宇木の首輪からガクは自信ありげに持ち主への推測を放し始めるのだがその言い分にはまったく理解することができない。

 それに加えてどうして俺は友人の性癖を聞かされなければならなかったんだろう? 明日、宇木と顔を合わせた時にどんな反応すれば良いんだよ?


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