転生聖女、順調に成長する
ハルノス・ヴェルナー公爵令嬢 3歳
順調に歳を重ね、体も大きくなった。よちよち歩きだったのがスムーズに歩けるようになったし、言葉も喋れるようになった。
それよりも大きな変化といえば、魔法と体術を兄と一緒に習い始めた。
私は魔法発動体でもある、薙刀的な白銀の武器が実践用と訓練用---刃を潰してある----各1本づつ。
兄は同じく魔法発動体の柄が緑の長剣。
これらはマジックアイテムでもあり、体の大きさに合わせて武器も大きさを変える上に、不壊機能も付いている。そんな高性能なマジックアイテムは公爵家だからこそだ。
訓練は始めるのが早ければ早いほど伸びも早くなるし自衛もしっかり出来る。
ヴェルナー騎士団 団長であり、私達の教師でもあるトーマスの持論。見た目年齢60歳のおじ様。お爺さんではなく、おじ様と呼びたくなる渋さ。
「兄様、今日こそは勝ちます!」
薙刀を利き手である左から右下に払うと、あっさり剣で弾かれる。弾かれた勢いのままに一回転してからの渾身の一撃は受け止められ、力負けしてしまい尻餅をついてその首に剣先を当てられた。
「お嬢様、力が入りすぎです。速さは1級品なのに力みすぎて速さを殺ししまっています。」
何度も尻餅をついては起き上がる。それを繰り返し、2人とも訓練着をボロボロに汚す。
午後からは淑女教育。
私は自分が貴族の女性として一生を終える未来が見えず、淑女教育を少し苦手。
魔法だったり、体術の方が楽しい。
「お嬢様、仕草に心がありません。それでは上部のみの印象しか与えませんよ。」
「はい。マリー先生。」
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体術と魔法を組み合わせた訓練をしているハルノス様とケレベス様。何度も何度も起き上がる姿は言葉では言い表せないほど美しく、天使の様であった。
物心つく前から2歳年下のハルノス様にお仕えする様に言われて3年。ハルノス様が教会で魔札の儀を終わらせたら正式にお仕えする事になる。
従者として、友人として、姉として。
もう少しで魔札の儀を迎えるハルノス様へお仕えする為、ニコルは従者としての勉強に励む。