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ニューゲート   作者: 佐倉蒔人
第1章
13/20

雨と来訪者

12月19日、午前10時25分

川内からの電話があって完全に目が冴えてしまっていた。おまけに外はひどい大雨だ。


頭で考えたくもないのに考えることが多すぎる、そう思った。


川内によれば御堂というのは偽名で、何かしら素性を隠す必要性があるからとのことだった。

しかし、だとすると、なぜヒカリはアルファゼロを潰すと言っていたのか。

よく漫画にあるような父親の暴走を止めるとかいうやつか?

考えてもキリがなかった、幸い、ヒカリは今日うちに尋ねてくる。その時にすべてを聞けばいい。すべてはそれからだ。


川内は説教臭く、古谷光との接触はするなと言っていたが、言うのが遅すぎる。こっちは面倒事にすでに巻き込まれているのだ。



午後17時、ヒカリが来ることはなくコンビニに行こうとマンションを出た時、目の前に黒い傘を指した男が立っていた。

男は俺を見ると軽く会釈をした。身長は170後半で髪は全て白髪だった。60歳くらいだろうか。

グレーのスーツに同色のベストを着込み、水玉のネクタイを締め、企業の重役のような印象だった。


「どちらさますか…?」


「執事の芳賀と申します。この度は新藤成海様にお願いがあり、こちらに伺わせていただきました」


「執事? お願い?」


「あなたにヒカリ様を助けて頂きたいのです」


「助ける?あいつに何かあったんですか?」


「今朝、アルファゼロに拉致されました」


「捕まったのか?」

芳賀は頷いた。そしてすぐ後ろに止めてあったシルバーのSUVの後部座席を開けた。


「どうぞ。ここは濡れます」


一瞬躊躇いながらも俺は車に乗り込んだ。


車に乗り込むと運転席に俺と歳の近い女性が座っていた。ボブの黒髪で黒いスーツに白いワイシャツを着ている。

女性はこちらに振り返り軽く会釈をした。


「使用人の牧野です」俺の隣に座った芳賀が運転席の女性を紹介した。


「ども」使用人とか執事とか、海外の富豪みたいだな。


「今、執事とか日本にもいるんだ、とか思いましたか?」芳賀が少し笑ったように言った。


「いや、別に…」このジイさん、怖い。


「まずは私はあなたの敵ではございません。ご安心を」


「ああ、それは良かった。でもなら、あんたたちはどこの人間なんだ」


「それは組織という意味で、ですか?」


「そうですね。私は過去、古谷丈一郎様に雇用された人間ではあります。しかし現在はヒカリ様に雇用されております。私たち執事の世界ではよくも悪くも契約が全てございます。その契約が続く限り、私も牧野もヒカリ様の命令に従う立場であります」


「なるほど…。というか、やっぱりあいつはアルファゼロ社長の娘なんですね」


「はい。その通りです。すべてはそこに集約されると言ってもいいでしょう」


「芳賀さん、ちなみにこの車、どこに向かっているんですか?」


「アルファゼロ本社です」芳賀はあっさりとそう告げた。


「敵陣のど真ん中かよ…」


ため息が出る。どうして毎回こうもリスク続きなのだろうか。


セダンが雨の都内を疾走していく。交通量は少なく、車はスピードを上げてアルファゼロ本社に向かっていく。


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