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第零章 先輩勇者からの特にありがたくないお話

もしかしたら「勇者になりたい!」と、思っている人がいるかもしれない。ただそれだけはやめておいたほうがいい。だってさ、勇者になったところですぐに周りから褒められるとか、総理大臣から勲章をもらうなんてこともないし、ただただ毎日なんかよくわからないモンスターと戦ってモンスターが持ってるべとべとのコインを拾い集めてそれを川で洗ってそのコインで買い物とかをして武器とか、寝床を見つけるっていうことを延々と繰り返してくんだよ。そして一番大事なのはさ、勇者だからってことでさあの髭のおやじ、あぁ総理大臣の事ね。

あいつ決起集会で「君は勇者だ、素晴らしい力を持っている人間だ。だから君には君以外の戦力は要らないし、装備も最低限でいいだろう」とか言ってよ、兵士とかもよこさないし、武器もなんだよ“木の枝”って。子供の冒険じゃないんだぞ。これで魔王を倒せとか頭いっちゃってるだろ。

でもそんな文句が頭の中や心の中で浮かんだとしても、言えないこと訳があるんだ。だってさ俺もとニートだぜ。ニートならともかく引きこもりニート。二十歳を超えてもなお大学にも行かず、定職にもつかなかった。そんな日々がもう、三年になろうとしかけたところである手紙が家に届いた。その時は久しぶりの手紙だからちょっとウキウキして「ラヴレターかなぁ」というわけの分からないことを考えてにやにやしていたが、しっかりと手紙の表面を見てみると『国民防衛局』と書かれていたんだ。何だい?国民防衛局って。初めて聞くよそんなもの。

そんなことを思っていたから、封も切らずにその手紙は捨てて録画したアニメを見始めたんだけれどもその数日後ある荷物が届いたんだ。勿論送り主は『国民防衛局』からだった。

さすがの俺もこうなると「なんだ、たちの悪い嫌がらせか?」と思いインターネットを起動させ国民防衛局について調べてみることにしたんだ。

いや~。世の中って三年で変わるもんなんだね。いや~、本当に・・・・。

三年間、ろくにニュースなどの興味のない情報を一切遮断していた俺にとって、このニュースはまるで悪夢のよう・・・というか現実味を帯びないただのでまかせのように思えたんだ。

ニュースの題にはこう書かれていた。


若年無業者、魔王討伐参加へ。と。


魔王?それってゲームの世界だけの話だろ?おいおい、まだ中世の時代とかで「魔王を倒すのだ」とか言われるならまだ理解できるよ。ただこんな世の中、科学が発達しつくしている世の中で魔王を倒せとか言われても「そりゃ大変だぁぁ」と思うやつはよっぽどの馬鹿か、中二病のどっちかだろう。もしくは、パラレルワールドからやってきた、そういうやつらかな?まぁ、どっちでもいいんだそんなことは。まずは本当にこの情報が事実なのかを確かめることが先決だ。まず今日の日にちを確認するんだ。エイプリルフールであれば理解できるかもしれない。うん、四月一日じゃない。そもそもセミが鳴いてた。

じゃあ過去にさかのぼってこの情報の真意を確かめることにしようか。

というか送られてきた荷物が異様に思い、何が入ってるのか?気になる所だが中身が怖すぎて開けられない。


・・・・


さかのぼってみるとこの魔王討伐、もとい魔王光臨の情報は俺がニートになって一年後に話題となって出ていた。その後魔王が放った魔物たちのせいで世界のほとんどの国が壊滅した。というか壊滅せずに残った国は日本を合わせて五つの国だった。

そしてその五つの国はそれぞれ独自のやり方で魔王をつぶす計画を実行することになり、

・・・・ということは俺、魔王討伐に行くのか。

とりあえずこの国民防衛局の事は事実だと分かったし、魔王というのもいることが分かった。

じゃあ荷物を開けてみるか。


・・・・


荷物を開けるとその中には『勇者に任命おめでとう~魔王討伐の手引き~』と引き受け渡し並びに決起集会会場のご案内、が入っていた。

手引書をぱらぱらとめくっているとQ&Aという項目にたどり着いた。その中でいくつか面白い項目を見つけたので紹介していこうと思う。


Q3 もし、魔王を討伐できたら何か商品は出ますか?

A  はい、現金三億円と国民防衛局魔界方面部署の所長に任命いたします。


Q4 もし、魔王討伐に参加しなかった場合はどうなりますか?

A  存在もろとも消えて、人々の記憶の中から抹消されるでしょう。


Q13 武術経験がありません、どうしましょう?

A  甘えるな、経験がなくとも君には頭があるだろ?そこを働かせればいいだろう


着実に怖い口調になっていくアンサーが本当に俺の心をつぶしていった。そして、決起集会のご案内にはには開場の日時が書かれていた。俺はその日時にも驚愕した。


「今日じゃん、決起集会って」


そのあと急いで決起集会に向かい、木の棒などをもらい、総理大臣の狂った話を聞いて魔王城へと向かった。


その日から俺の勇者生活が始まった。だからこれだけは言う。勇者になるくらいならば、ちゃんとした職につけ。そのほうが楽だから。


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