巨大生物
リア君は相変わらず可哀想な子です。
誤字脱字等を見つけた場合は、随時直していくので指摘お願いします。
しばらく集落の中を探索した後、中央の広場(たぶん祭典用だろう)に集まって、それぞれの意見を交換することになった。
「私が見たところホントに何もないわ、ここ。きれいさっぱり人だけが煙のように消えちゃったみたい」
「僕も同じ意見です。地面を歩く音どころか、空気が動く音すらしません」
私とリアが頭を抱える中、黒いのが一人だけ気難しい顔をしていた。
「おかしい。……この匂いは一体どこから……?」
「何か分かるのか、黒いの?」
「だからミカゲですってば。……何か変なにおいがするんですよ。血のような違うような……」
突っ込むべきところはしっかり突っ込んで黒いのが答えた。さすがうちで一番の突っ込みだ。リアではまだまだ足りない。
「だいたい、何処から匂うのかもよく分からないんですよ。強いて言うなら、この集落全体から、でしょうか」
「うわ、やめてよ。地面掘ったらそこらじゅうから変なもの出てくるとか……。考えただけで寒気がする」
「地面?…………(うわあ、なんかすごくいやな予感が)」
「どうしたんですか? ミカゲさん」
「リア、お前だけでも先に逃げ――!?」
黒いのがリアに何か言いかけたところで、地面が割れた。
「うわ、何だこりゃ! 意外と深いな」
「何変なところで感心してるんですか、師匠!」
「二人とも! 落ちますよ! 舌噛まないように口を閉じて――!?」
「自分で言っておきながら、噛んだね」
「噛みましたね」
身体能力が総じて高い私たちは特に苦労することもなく、5mほど落ちて着地した。一人だけ私たちに背を向けて口元を手で押さえている黒いのは、まぁ、アホなんだろう。
「ひはひ(痛い)。ひははんはっは(舌噛んじゃった)」
「僕、ミカゲさんがこんな間抜けだったなんて、初めて知りました」
「まあ、私の弟子だからね」
「なるほど」
納得するな! と私は心の中で突っ込んで、一人痛がっている黒いのを無視してあたりを見渡した。黒いのが言ったことが本当ならば、このあたりが匂いの元凶……かもしれない。
「……師匠、何か聞こえます。何か、いま聞きたくないような音が……」
私もリアが見つめるほうへ視線をやる。しばらくすると、暗闇の先のほうに何かぬめぬめと光る、白っぽいものが見えた。
「ひっ」
隣でリアが小さく悲鳴を上げる。そういえばこいつ、トーマに似て両生類とか爬虫類とか、ああいう系統のもの、すっごく苦手だったよな。
私たちの目の前には巨大なナメクジのようなものがいた。しかも体中から青い体液のようなものを撒き散らしている。
「気持ち悪……」
「なるほど、匂いの元凶はあれでしたか」
昔から私は目の前にいるものの小さい奴を持ってトーマやらリアやらを追い回してるが、正直このサイズまででかくなると気持ち悪い。少なくとも積極的に触りたいとは思わない。
「黒いの、気持ち悪くないの? 冷静に見えるけど」
「貴女に昔、散々これで追いかけまわされましたから」
だからもう慣れました、と相変わらず可愛くないな。黒いののくせに。
「どうする? これやっつけないとたぶんここから抜け出せないよ。ちなみに私は嫌」
「僕は絶対嫌です!」
「僕もできれば触りたくないですね……」
こんな会話を繰り広げながら、私と黒いので素早くアイコンタクト。悔しいがこいつは意思疎通というものがしやすい。
「じゃ、公平にじゃんけんで……!」
と口では言っておきながら素早くリアの両手を掴む。ちなみに黒いのは両足を抱えている。また黒いのとアイコンタクトして無言でタイミングを合わせる。
「じゃ、リア、頼んだわよ!」
「普段仲悪いのに、何でこんなときだけ息ぴったりなんですか!?」
何かリアが泣きごとを言っていたような気がするが、いつものことなので無視した。
次回、リア君の可哀想なターンが続きます。