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気ままに。  作者: 咲坂 美織
神狼編
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私とあいつ

 今回は師匠の過去の話がメインとなっております。ちょっとシリアス気味です。こんなはずじゃなかったんだけどな……。

 森の入口から走って10分。私たちは岩壁にぽっかりと黒い口を開けたような洞窟の前に立っていた。

「さてと、ご対面といきましょうか。危ないからあんたは外で待ってなさい」

「自分の身くらい自分で守れると言ったはずです。どうぞご心配なさらずに」

 いつもならそのまま付いてこさせるところだが、今回はそうもいかない。

「黒いの、この中には何がいるのか分かってんの?」

「分かってますよ。貴女に伝えたのは誰だと思ってんですか」

「いちいちムカつく奴ね。分かってんなら外にいなさい。いいわね」

 黒いのにくるりと背を向けて洞窟の中へと入っていく。そっと黒いのの様子をうかがうと、ちゃんと外にいた。それだけ確認すると、私は歩く足を速めて洞窟の奥へと向かった。

「しっかしここは10年前から何にも変わらないわね」

 私が最後にここを訪れたのは10年前、私が7歳の時だった。

「そして、あんたは10歳だったわよね」

 この洞窟の一番奥に広場のようになっているところがある。そこのさらに奥に、一つの人影があった。私はその人影に殺意をこめた視線を送る。

「久しぶりだね、カラン。会えて嬉しいよ」

「私は嬉しくないわ。もう二度とあんたになんか会いたくない。父様と母様を殺したあんたになんか」

「つれないな。俺はお前のだろう?」

「お前なんかっ……!」

 怒りに震える私の様子なんかお構いなしに、10年前に縁を切った兄、リュウセイが私のほうに近づいてくる。

「俺はずっとお前に会いたかったぞ、カラン」

「私をその名で呼ぶな!」

「おっと、これはあの日に君が捨てた名だったか」

 あの日。私の人生で最悪の日。一瞬たりとも忘れたことはない。この洞窟で、

「お前が父様と母様を殺した日だ……!」




「カラン! そろそろ出かける時間よ!」

「はい、母様!」

 私は手に持っていた帽子を急いで被ると、玄関で待つ母のところへと走って行った。

「カラン、帽子が曲がってるぞ。ちょっとじっとしてろ」

「ありがとう、兄様。さあ、行こう!」

 私は母様と兄様の手を掴むと、元気よく外へ飛び出した。

「こらこら。カラン、そんなに急ぐと転んでしまうぞ」

「平気だもん! あっ」

「だから言っただろう」

 そう言って転ぶ直前に私を抱き上げてくれたのは父様。

「えへへ。ごめんなさい。父様大好き!」

 父様にギュッとしがみつくと、父様は肩車してくれた。

「さ、ちょっと急ぐぞ。今日は大事な儀式の日だ。遅れたら大変なことになる」

 "黒ネコ族"の子供は7歳になると一人ひとり自分用の短刀を贈られる。"黒ネコ族"にとって短刀とは誓いをたてるときに使う神聖なものであり、自分の短刀を持つということは一人前と認められることだ。

「やっと族長の愛娘が7歳を迎えたんだ。今日の祝祭は盛り上がるぞ」

 今回儀式で短刀を贈られるのは全部で11人。その中でも族長の娘である私は最後に父から短刀を受け取る。

「リュウセイが7歳を迎えた時のことを思い出すな。あの時も長男だということで盛り上がったなぁ。今から楽しみだ」

「大丈夫だよ、カラン。別にそんなに緊張するものでもないから」

「そうよ。ちゃんと"宣誓の言葉"は覚えたわね」

「はい!」

 最後に短刀を受け取る者は、"宣誓の言葉"といって、"黒ネコ族"として誇りを守って生きていくことを誓わなければならない。だいたい"宣誓の言葉"を言うのはその儀式を受ける者の中で最も身分の高い者だ。

「三年前の兄様、かっこよかったなぁ。私も兄様みたいに頑張る」

「そうそう。その意気だ。頑張れよ、カラン」

 そうしているうちに、儀式がおこなわれる"母なる洞窟"へとたどり着いた。この洞窟は"黒ネコ族"がすむ森の中でも最北端に位置し、儀式のとき以外では例え族長でも立ち入ることは許されていない。儀式を迎える子どもたちは、順番に洞窟の中へと入って行き、その奥で待つ族長から短刀を受け取る。

「それじゃ、私たち先に洞窟で待っているから。リュウセイ、カランを頼んだわよ」

 儀式の準備をするため、父様と母様は先に洞窟の中へと入って行った。

「カラン、他の子たちはもう並んで待ってる。僕たちも行こう」

 儀式を待つ子たちの中に混じって一人でいると、急に不安になって周りをきょろきょろと見回した。すると、兄様と目が合った。兄様は優しく微笑むと、手を振ってくれた。それだけで、不安が吹き飛んだ気がした。

 儀式の順番を待つ間、いろんな人から祝福の言葉をもらった。それにいちいち笑顔で答えるのは疲れたけど、家族のためだと思って乗り切った。

「次、族長の娘、カラン」

「はい」

 副族長に名前を呼ばれて洞窟の中へと入る。この先に父様と母様がいるはずだ。確か受け取って外に出たらそのまま演説台に上って"宣誓の言葉"だったよな。頭の中で何度も繰り返し練習した言葉をもう一度復習する。洞窟の広場が見えてきた。もうすぐ私の儀式が始まる。

 ちなみに、キャラの名前に漢字をあてると、


カラン→花藍

リュウセイ→流星

ミカゲ→御影

リア→李亜


となります。師匠にはもう一つ名前があります♪ そのうち出てくるかと……。

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