真実
いける。いけると思ったんだよぉ(泣
これを読んでくださった友人の皆様が、
「これはなぜ残酷描写の警告が無い!?」
と寄ってたかって苛めるんです(笑
さすがにこの回からはアウトだろうという作者の自己判断(自重ともいう)により今回から残酷描写ありの警告を入れさせていただきました。
内容的にはほぼ変わりません(たぶん)ので今まで同様楽しんでいただけると幸いです♪
「身体を……借りる?」
「そうよ。あたし、こう見えても霊体なんですよ? それで、このリュウセイに協力してもらっているわけです」
この目の前でしっかりと実態を持っている人が霊体? そんなわけあるはずが……。
「カラン、俺が1週間前に言ったこと、覚えてるか?」
今までずっと黙っていたあいつが急に口を開いた。1週間前……、北の森であいつに会った時か? 確か強くなった私が必要とかどうとか言ってたな。
「始まりは10年前。俺がこの人に出会ったときからだ」
そう言って、あいつが静かに語りだしたのは、10年と少し前。私の7歳の儀式の前の出来事だった。
「坊や、どうしてここに来たの?」
「何か嫌な気配を感じた。あんたが僕の父上や母上、妹や族民たちを傷つけるような奴だったら容赦はしない」
僕はそう言って3年ほど前に父上から頂いた短剣を構えた。本来この短剣は人を殺めるためのものではないが、まだ幼い僕にはこれしかなかった。
「あらあら、坊やはあたし相手に随分と気が強いのね。気にいったわ」
「僕はお前に気にいられる筋合いなど無い!」
「うふふ。200年ぶりだから、坊やみたいに小さい子があたしのこと知らなくても当たり前ね。もっともあたし、200年前は男だったけど」
突然、目の前にいる女が怖くなった。200年前。以前は男。その単語が頭の中でぐるぐるする。どこか、どこかで僕はその単語を目にしている。その正体を知っている。
「あら、坊やは頭もいいみたいね。あたし、賢い子は好きよ」
目の前にいるのは何の武装もしていない、非力な女のはずで、僕のほうは短剣を持っている。それなのに僕はこの女の目の前に立っていることにすら恐怖を覚える。
「いい、坊や。あたしの名前はルーパス。"神狼ルーパス"よ」
「あ……」
思い出した。"神狼ルーパス"。それは狼族の実在する神であり、もっとも残酷で残虐な神。その身体は200年前にこの北の森の"母なる洞窟"に封印されたと、父上の書斎にあった本には書かれていた。
「ちょっとごめんなさい」
すぐ近くでしたその声にハッとして意識を前に戻すと、至近距離にルーパスの顔が見えた。
「痛っ――!」
一瞬痛みが走った右腕を見ると、一本の赤い傷が手首から肘のあたりまで走っていた。また視線を前に戻すと、そこには赤い液体を手につけ、それを舐めとっているルーパスがいた。
「お前、族長の息子か……! ついさっき目覚めたばっかりだと言うのに、なんて運がいいんでしょう! お前、名は何と言う?」
「……リュウセイ」
「うふふ、いい子ね」
ルーパスはもう一度僕に、今度はゆっくり近づくと、頭を優しく撫でた。頭が撫でられたところからぼーっとする。
「そう、明日妹の7歳の儀式なの。それで、あの洞窟で儀式を行うのね。そこには族長たちも揃う……」
何でそんなこと、この人が知っているんだろう。そう思っていたら、急に僕の声が聞こえてびっくりした。どうやら僕が全て喋ってしまったらしい。
「いい、リュウセイ。貴方はもうあたしのもの。あたしの言うことしか聞かない」
僕、何かいけないこと喋っちゃったような気がする。でもさっきから頭がぼーっとして、ルーパスが何言っているのかもよく分からない。
「リュウセイ、よく聞いて。あたしはここに200年も閉じ込めた貴方の先祖が憎い。できれば復讐したいわ。でもね、今のあたしにはそれができないの。何でか分かる?」
父上、母上、カラン。ごめんなさい。
「あたしが力を発揮するためにはここの族長の存在が邪魔なの。いくらこの200年で族長の力が衰えたといっても、200年前にあたしを封印した者の末裔だから。だからね……」
もう眠い。このままここで寝たら、僕はこの人に殺されちゃうのかな。
――――――貴方の家族を全員殺しなさい――――――――
カランだけは守らなくちゃ。僕の大切な妹。
そこで僕の意識は途切れた。
お兄ちゃん、そんな過去があったなんて……!
これからお兄ちゃん大活躍(の予定)です☆
頑張れお兄ちゃん!