追手
暴力シーンはなるべくさらっと書いていきたいと思います。一応これ、戦闘モノじゃないんで。(←今更)
作者は暴力反対です。(←じゃあ書くな)
翌朝、まだ日が昇りきっていない時間に私は起きだした。軽く壁をコツコツと叩いてから一緒に寝ているフィアを起こす。
「フィア、起きなさい。そろそろ行くわよ」
「ふわぁ。おはようございます……って、まだお外真っ暗ですよー?」
まだ眠気が去っていないのか、少し舌ったらずなフィアが目をこすりながら抗議する。
「次の村がちょっと遠いから、少し早めに行くのよ。ほら、早く着替えて」
フィアを急かしながら支度を済ませ、まだ目をこすっているフィアを半ば引きずるように部屋を出る。
「遅いですよ。リアとフィイ君は先に村の出口に向かわせました。ここは僕が交渉するので先に行っていてください」
「ありがと。さ、行くわよ、フィア」
宿屋を出ると、まだ眠いらしいフィアを背負って村の出口に向かって走り出す。……それにしてもこの子軽すぎじゃない? 今までちゃんとご飯食べてたのかしら。
村の出口近くの家の物陰に、膝を抱えて丸くなっているフィイと、その傍に立っているリアが見えた。やっぱりフィイのほうも眠かったらしい。
「あ、師匠。おはようございます。フィアちゃんもやっぱり駄目だったみたいですね」
「まあ、まだ小さいから仕方ないわよ。もう少し寝かせてあげましょう」
「……僕も同い年なんですけど。ついでにもっと小さい頃叩き起されて目が覚めるまで虫とか持って追いかけまわされたんですけど」
「……あれは、うん、そう、訓練だから」
「まあ、おかげですぐに起きれるようになったのでいいですけど。主にトラウマで」
どうやら私は幼いころのリアの心にとてつもなく大きな傷跡を残していたようだ。ま、結果オーライ?
「よくないですよ。僕以降の子たちにそんなことしないでくださいよ。フィアちゃんとかフィイとか」
リアが私と双子の間に立ちふさがる。いい度胸してんじゃない。
「ふーん。僕以降……ね。じゃあ、リアはいいの?」
「え、ち、違っ! そういう意味じゃなくて……!」
「いい加減貴女はリアをいじめるのやめてください」
「あら、黒いの。遅かったわね」
いつの間にか黒いのが呆れた顔で後ろに立っていた。黒いのにも気づかないなんて、私もちょっと度が過ぎたかしら。
「まったく貴女って人は。子供じゃないんですから、いい加減限度ってものを覚えてください」
「ったく。分かったわよ。相変わらずあんたは固いわね」
「誰のせいだと思ってるんですか、誰の」
「あー、何にも聞こえないー」
私は耳を押さえて顔を背ける。後ろで黒いのが貴女はガキですか、とか言ってるような気がするけど無視。
「じゃ、出発するわよ。黒いの、フィイを背負ってあげなさい。リアは全力で走れるわね。私はフィアを背負ってくから」
2人とも黙って首を縦に振ってこたえる。
私はフィアを背負うと、黒いのがフィイをきちんと背負ってスタンバイしているのを確認すると、指を3本立てて軽く振る。
腕を元に戻した瞬間から心の中でカウントを開始する。3……2……1……。
0、と心の中でカウントするのと同時に地面を強く蹴って家の影から飛び出す。同じタイミングでリアと黒いのも飛び出しているはずだ。
ちゃんと付いてきているか気配だけで確認して前方に目を凝らす。
(10か。多いな)
走る速度は緩めないまま、腕を固定したまま指を1本立て、左右に10回振る。後ろの2人が同時にうなずくのが気配で分かる。
それを確認すると同時に、私はフィアを背負い直し、道のわきに続く森の中へ飛び込んだ。と同時にリアと黒いのもそれぞれ左右の森の中へと飛び込んだ。
「リア、あんたは黒いののほうへ行きなさい。こっちは1人で大丈夫だから」
「分かりました」
私の後についてきたリアに一言だけ指示を出すと、私は目の前を凝視する。……こっちは女だと思って甘く見てるわね。4匹くらい軽いわ!
「――――――ッ!」
無言で気合いを入れて目の前に見えた1匹に飛び蹴りをお見舞いする。その間にも走る速度は落とさない。続く3匹も回し蹴りと飛び蹴りで沈める。
周りに残りがいないことを確認して道に戻る。遅れること数秒、黒いのとリアも道に戻ってきた。
「遅かったわね。あんたたちもまだまだね」
「う~、やっぱり師匠には敵わないです」
「それよりも黒いの、そっちはどうだった」
「貴女の読み通り、全員狼です。たぶん昨日の夜から街の外に張ってた奴らと同じです」
「で、宿にいた奴らは?」
「全員沈めて村の広場に置いてきました。朝になれば村の人たちが気がついて何とかしてくれるでしょう」
「「?」」
私と黒いのの背中ではようやく起きたらしい双子が双方訳が分からない、といった顔できょとんとしていた。
「これは私の推測だけど、さっき沈めた奴らはあんたたちの次の作戦実行部隊よ。昨日の夜から村の外と宿屋に張ってたから早めに出てきたってわけ」
「多分この先、まだ追手は来ると考えたほうがいいでしょうね」
「仕方ないわよ。あいつは昔っからしつこい奴だったから」
小さいころの記憶なんてとっくに捨てたくせに、とか何とか黒いのが言っていたような気がするが、たぶん気のせいだろう。
私たちはだんだん明るくなってきた道をただひたすら次の村を目指して駆けていた。
これは暴力ではありません。アクションです。きっと。
グロいシーンとかは絶対に書かないようにしているので、もし何か気がついたことがあれば、感想でお願いします。