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気ままに。  作者: 咲坂 美織
神狼編
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嫌がらせの出会い

師匠って、どんな格闘技やるのでしょうか?

作者にも分かりません。

一応稽古場には5、60人いる設定です。……そんなとこほっといていいのか、師匠

感想等いただけると嬉しいです♪

 トントンとリズムを刻むように、右へ左へ軽くステップ。くるりとターンして相手の背後へと回りこむ。

「はい、おしまい♪」

 相手の背中に容赦なく手刀をたたきこむ。背中に衝撃をくらった少年はバランスを崩してその場に崩れ落ちる。少年が私を見上げながらちょっと涙目になりながら笑いかけた。

「師匠、相変わらずお強いですね。少しは手加減してください」

「最年少で師範代やってるやつが何言ってんの。しかしまた一段と強くなったわね」

「ありがとうございます!」

 いくら師範代といっても中身はまだ10歳そこそこの少年だ。頭の上のを嬉しそうにぴょこぴょこと動かした。彼は素早さで名の通る"白ネコ族"の少年だ。

「じゃあ、そんな強いリア君に後のことはすべてお任せして、私はまた放浪の旅にでも出ようかな」

「そんな、ひどいです! 師匠!」

「じゃ、後は任せたぞ、師範代♪」

 後ろでリアが何か(泣き)叫ぶ声が聞こえたような気もするが、無視してさっさと歩きだす。自由気ままな"黒ネコ族"。それが私の二つ名だ。私は機嫌よく頭の上のきれいな三角形の耳をぴょこぴょこと動かした。




「さて、リアのやつもからかってきたし、今日は何しよっかな」

 森の中の一本道をとことこと歩きながら、機嫌良く鼻歌を歌ってみる。そういえば以前、リアに師匠に機嫌が悪い時はあるのかと聞かれたことがあったな。たぶんない。ただ一つの例外を除いて。

「……何の用だ。黒いの」

「おやおや、相変わらず貴女は機嫌が悪いですねぇ。同じ"黒ネコ族"じゃないですか」

「誰が貴様とっ」

「まあまあ落ちついて。また出たそうですよ、あいつ。ついでに僕の名前はミカゲです」

「貴様が来るとすぐこれだ。だから嫌なのよ」

 名前のことはさらっと無視。先のことが思いやられながらも、一応話は聞かなければならない。

「で、どこに出たって?」

「ここから北にある"黒の森"です」

「遠……。しかも故郷か。一応伝言御苦労さま。さっさと帰れ」

 黒いのにさっさと背を向けて、北を目指して歩き始める。今回はちょっと遠いから帰るのは遅くなるだろう。心の中でリアに謝る。いじりに帰れなくてごめん。

「……何のつもりだ? 黒いの」

「だから僕はミカゲですって」

 私はありったけの殺意を込めて腕にひっついたものを睨みつけた。黒いのはリアよりも1、2つくらい年上だ。その分体も大きい。リアでさえ今がギリギリなのだ。それ以上のものは正直ご遠慮願いたい。

「離れろ、黒いの!」

「(だから、僕はミカゲです)今回は"黒ネコ族"の故郷ですよ。帰るついでについていきます」

 一人で気ままに旅するほうが断然好きなんだけどな……。仕方がないか。

「死んでも置いていくがいいな、黒いの」

「(だからミ…(省略))かまいません。自分の身くらい自分で守れます」

「……仕方がない。行くぞ、黒いの」

「……………(ハア)」




 そんなこんなで、北の"黒い森"に到着。途中黒いのが崖から落ちかけたりしたような気もするが……、まあ気のせいだろう。現に息を切らしながらも私の後ろにいるしね。

「貴女は僕を殺す気ですか!?」

「そんなつもりは一切無かったんだけどな」

「……通常1週間の距離を2日で走破。これを殺す気じゃないと言うんですか」

「……さてと、さっさと片付けて帰ろっかな♪」

 とりあえず黒いのはその場に置いて、さっさと森の中に入ってしまうことにした。

「待ってくださいよ。どこに出たかも知らないのに勝手に森の中に入らないでください。だいたい貴女はこの森から……」

「分かってるわよ。私がもうこの森からは歓迎されないことくらい」

 今度こそ森の中に入っていく。今度は黒いのも文句を言わずについてきた。何よ、急におとなしくなっちゃって。さっきまでみたいにギャーギャー騒いでればいいのに。

「……こんなところだけ、やっぱりリアよりも大人よね」

「? 何か言いました?」

「別に、何でもないわよ。で、あいつが出たのって、何処?」

「ここからさらに北にある"あの洞窟"です」

「……。あいつもいい趣味してんじゃない」

 思わずため息をついてしまった。あいつに会うというだけで気が滅入るのに、まさかあそこにいるなんて、嫌がらせとしか思えない。

「行くしかないのよね、嫌でも」

 珍しく何も言わず、黒いのは黙って私の後に着いてきた。

 次回は『あいつ』の正体が判明します! たぶんリア君はここでお別れです。気にいってくれた方がいればまた出すかもしれませんが……。

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