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第三話 「交差」


僕は、彼女の間違いを正す事にした。


「ごめんね、言い方悪かった様だね。

 まだ、彼女に会ったこと無いんだよ。

 会ったこと無いけど、捜しているんだ、

 幼い時から僕の記憶の底にある羽音と共に居る彼女を・・・・」


そう話した僕を彼女は眩しい物をみるように目を細めて見てくれた。


「ロマンチックだね」


「金にならないロマンだから、親に追い出されたよ」


僕は笑いながらそう言った。

今の時代、PC一つで金儲けは出来る時代、

親父に跡取りとして仕込まれた僕は株で金を稼いでいる。

だからこそ、金のありがたみは分かる。


儲かるときは儲かるが、無くなるのは一気だ。

資金はある程度プールしているから、無理しなければ10年は旅が出来る。

当てのない旅は、節約が第一だ。


そんな事を知らない彼女は、

心配そうに僕を見ると良いことを思いついたと言うようにこう言った。


「じゃぁ、此処に居る間は、家に来たら良いよ。

 捜す人見つかるまで此処に居たら良いし」


「男の僕が、君の家に行けるわけ無いと思うけど」


無邪気に子供の様に笑い自分の考えに喜ぶ彼女に僕は現実を突きつけた。

すると彼女は、悲しそうに俯きながら・・・・急に泣き始めた。


「・・・・誰も居ないもん、

 パパも・・・ママも・・・私が・・・要らないから・・・役目果たせないから・・・」


彼女は俯いたまま、涙をぬぐう事もせず、

両手で拳を握りしめながら泣くまいとしているのが分かる。

僕は、黙って彼女を胸に抱きよせた途端、僕のシャツを握りしめワンワン泣き始めた。

駅の出入り口の人通り多い場所での出来事・・・・全く困った娘だ。

一時、泣き終わった処で場所を移すことにした。


「此処は、昔よく遊びに来た公園だよ!!」


彼女は、さっき泣いていたのが嘘だったように笑いながらブランコに座り漕いでいる。


「なぁ、さっきの役目って?」


僕は、心に引っかかっていた単語の意味を聞いた。




― 続く ―


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