第二話 「出会い」
鈍行を乗り継ぎ新しい街に着いた。
駅から出た途端、空に羽ばたく音が僕を襲った。
鳩の羽ばたく音だと分かっているが、振りかえずにはいられない。
誰も居ないと分かりながらも・・・・、
しかし、その時、羽音が去った場所に一人の少女が佇んでいた。
鳩にエサをやっていたのだろうか、
エサ袋を片手に持ちながら飛び去った鳩をジッと眺めていた。
憧れと憧憬をその瞳に滲ませながら空と鳩を振り仰いでいた。
彼女は、僕の視線に気づいたのか、僕を見てニッコリ笑うと声をかけてきた。
「怒られちゃうかな?」
「なんで?」
「鳩にエサをあげてると良く叱られるんだ、
でもね、鳩が飛び立つ瞬間が、羽音が好きで止められないの」
彼女は、長い髪をかき上げるようにしながら笑いながらそう言った。
その笑みは儚いと言うのだろうか、僕の目にはまるで幻の様に映った。
「そうなんだ、飛び立つ瞬間は兎も角、僕も羽音は好きだよ。
僕の捜している、待っていてくれる人が一番身近に感じる瞬間だから」
「待っててくれる?
もしかしたら、亡くなったの?」
彼女は、瞬間、悪いことを聞いたと思ったのだろうか俯いた。
僕は、何となく彼女の側に居たいと思った。
彼女が羽音の中で笑う顔を見たいと・・・・
― 続く ―