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静寂と始まり  作者: 一色 サラ


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4/4

4話 心の隙間

香織は女性の隣に座った。

「美味しいですか?」

「はい、まあ…」

今日は、パジャマではない。ジーパンにジャケット姿だった。

「私の夫が、生地から作ったです」

「はあ。」

 反応は良くない。なんでこんなに言葉に詰まるのだろう。コミュニケーションが本当に下手だと思う。人と話すは得じゃない。沈黙も好きでもない。ただ、相手を傷つけない言葉ばかりを探している。けど、見つからない。

「青い空、いいですね」

 何の反応もない。なんで、いつもこうなんだろう。ごめんなさい。

「ブランコって好きなんですか?」

 急に言われて、困った。なんで急にそんなこと聞いてくるんだろう。

「いえ、そんなに好きではないです。」

「ああ、昨日、乗ってたから、好きなんだと思っただけです」

 そういえば昨日乗っていた。そんなこと忘れていた。気分転換で、急に乗りたくなることがあるけど、なんで気になるのだろう。

「ブランコ乗ります?」

「いいです。子どもじゃないので」 

 子どもじゃないと、ブランコって乗っちゃだめなのかな。でも、テレビとかでは大人でも乗るしな。

「楽しいですよ」

「そうですか、私は乗らないので」

 何を言っても否定される気がする。人と話すは気力がいる。

「また、ベーカリーそよ風に来てください。私も店の奥でパン作ってます」

「わかりました。」

 香織は、もうそこに居ることができなくなって、公園をでて『ベーカリーそよ風』に戻った。


「どうだった?」

 戻ると保に言われて、横に首を振った。

「挫折も早いね」

 トボトボ店の遠くに行って、手を洗って、パンをこねる。昨日から、毎日公園に行って、誰かに話しかけて仲良くなりたいと思っていた。それに保から店の宣伝をかねって行っておいでと見送られていた。でも今日それに挫折した。たった1日だけ勇気を絞ったのだ。静寂だった気持ちを動かし始めることは大変だった。もし女性が『そよ風』に来たくれたら、また公園で誰かに話しかけてみたいと思った。

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