4話 心の隙間
香織は女性の隣に座った。
「美味しいですか?」
「はい、まあ…」
今日は、パジャマではない。ジーパンにジャケット姿だった。
「私の夫が、生地から作ったです」
「はあ。」
反応は良くない。なんでこんなに言葉に詰まるのだろう。コミュニケーションが本当に下手だと思う。人と話すは得じゃない。沈黙も好きでもない。ただ、相手を傷つけない言葉ばかりを探している。けど、見つからない。
「青い空、いいですね」
何の反応もない。なんで、いつもこうなんだろう。ごめんなさい。
「ブランコって好きなんですか?」
急に言われて、困った。なんで急にそんなこと聞いてくるんだろう。
「いえ、そんなに好きではないです。」
「ああ、昨日、乗ってたから、好きなんだと思っただけです」
そういえば昨日乗っていた。そんなこと忘れていた。気分転換で、急に乗りたくなることがあるけど、なんで気になるのだろう。
「ブランコ乗ります?」
「いいです。子どもじゃないので」
子どもじゃないと、ブランコって乗っちゃだめなのかな。でも、テレビとかでは大人でも乗るしな。
「楽しいですよ」
「そうですか、私は乗らないので」
何を言っても否定される気がする。人と話すは気力がいる。
「また、ベーカリーそよ風に来てください。私も店の奥でパン作ってます」
「わかりました。」
香織は、もうそこに居ることができなくなって、公園をでて『ベーカリーそよ風』に戻った。
「どうだった?」
戻ると保に言われて、横に首を振った。
「挫折も早いね」
トボトボ店の遠くに行って、手を洗って、パンをこねる。昨日から、毎日公園に行って、誰かに話しかけて仲良くなりたいと思っていた。それに保から店の宣伝をかねって行っておいでと見送られていた。でも今日それに挫折した。たった1日だけ勇気を絞ったのだ。静寂だった気持ちを動かし始めることは大変だった。もし女性が『そよ風』に来たくれたら、また公園で誰かに話しかけてみたいと思った。




