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静寂と始まり  作者: 一色 サラ


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第2話 パン

突然、同い年くらいの人が居たので、声を掛けて、メロンパンとミルクのパックを渡したが、受け取ってくれず、そのまま公園を出て行ってしまった。女性が座っていたベンチに香織は座った。パジャマ姿のままで、何かに失敗して、絶望にうちしがれているような顔で、目が灰色でどんよりしているように見えた。絶望が全ての希望と自信を奪っていくこような姿に、香織は何かしたくて、パンを一緒に食べたかった。『ベーカリーそよ風』のメロンパンは香ばしい香りとほどよい甘さで美味しいのだ。

 袋からクロワッサンを取り出して、口に放り込む。

「フラれたんだ」

「何が?」

 パン屋から、たもつが出てきて、隣に腰を下ろした。そして、置いていたメロンパンを食べ始める。

「人は悩むことが趣味だよな」

保は言葉を噛み締めて、笑っている。

「バカなんじゃない」

「バカかな」

大笑いして、保はミルクのパックの潰して、牛乳を飲みほした。

「じゃあ、俺は戻るわ。香織も準備しろよ」

「はい、はい」

香織も『ベーカリーそよ風』の仕事に向かわないといけない。また女性と会いたくなった。明日もここに来るかなと思いながら、公園を後にした。

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