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エピローグ 姉と弟の物語はこれからだ
十年後。
王国は魔導技術の進歩により平和を築いていた。
その中心にいたのは魔導院長・セリーナ・ヴァルクロワ。
ある春の日、彼女は庭で白い薔薇を摘んでいた。
「エドワード。これを貴方にあげる」
「どうして?」
「貴方が最初にくれたお花だから」
私はその花を受け取り、そっと胸にしまう。
──前世では私はただの観客だった。
でも今、私は彼女の弟として、彼女の救済者ではなく、家族として隣に居る。
風が吹き、薔薇の花びらが舞う。
まるで運命が微笑んでいるようだった。
「お姉様、これからもよろしくね」
「ええ、エドワード。これからもずっと」
物語は終わらない。
姉と弟の新しい物語は。
今、始まったばかりだ。
THE END